Jをめぐる冒険BACK NUMBER
佐藤寿人が中村憲剛を徹底マーク!?
広島は“らしさ”よりも勝利を選ぶ。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/05/10 10:50
J1通算得点ランキング1位の中山雅史は157点。佐藤寿人にとっては、飼い犬に「ゴン」と名前をつけるほどの憧れのストライカーだが、記録の上では既に視界に捉えているといえる。
“ノックアウト”スタイルでリーグを戦う。
今シーズンからJ1は、11年ぶりに2ステージ制が復活した。これまでならまだ10試合、序盤戦が終わったにすぎなかったが、第1ステージの残り試合はわずか7試合、終盤戦に突入する。この先は1勝の価値が、あるいは1敗の価値がこれまで以上に重くなり、負けたら終わりのトーナメント戦の感覚に近くなる。
だが、塩谷司の「優勝するために、僕らは勝ち続けるしかない」との言葉を聞くと、広島はすでに“ノックアウトステージ”を戦うためのスイッチが入っているに違いない。
「守備のアイデアを持って、相手の攻撃を止めようと選手たちには話していました。選手たちは非常に楽しみながら守備をしていたと思います」
もっとパスをつないで崩したかったと振り返った森保一監督だったが、押し込まれたことよりも、このゲームに勝ち切り、守備のオプションを手にしたことに手応えを得ているようだった。
“らしさ”を出せなくても凌ぐしたたかさと、過密日程でも勝ち続ける力強さ――。'12年、'13年のJ1王者が、再び主役の座に躍り出ようとしている。