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十両の土俵を熱くする次世代のホープたち。
~石浦、天風、阿炎……光る個性~
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKYODO
posted2015/05/08 10:00
師匠の錣山親方のあだ名から四股名を付けられた阿炎。序二段と三段目で優勝も経験した。
今、十両の土俵が熱い。先の3月場所で新十両デビューした3人は、特に個性的でもある。
173cmの小兵の業師・石浦は、相手の懐に潜り込んでの下手投げを得意とし、「銭の取れる相撲」で土俵を沸かせた。天風は200kgの巨体を生かし、思い切りのいい相撲で10勝5敗の好成績を上げてもいた。弱冠二十歳の阿炎(あび)は、惜しくも7勝8敗と負け越したが、長い手を駆使したその突っ張りには、若さがはじけていたものだった。
なかでも阿炎は、高校相撲部出身ながら、特筆すべき実績はないものの2年足らずで関取に昇進。8頭身のスタイルに伸びやかな長い脚、黒目がちで切れ長の目が印象的だ。負け越した悔しさをぶつけるかのように、稽古場の土俵では眼光鋭く、がむしゃらに相手に向かっている。稽古後は一転、あどけなさの残る顔で屈託のない笑顔を振りまき、その初々しさがまぶしいほどだ。