サッカーの尻尾BACK NUMBER
レアル相手にホームで4連続無失点。
アトレティコ守備陣が抑えた「勘所」。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2015/04/15 11:25
試合中最大のチャンスを手にしたのはレアル・マドリーのギャレス・ベイルだったが、これを決めきれず。移籍騒動が一段落し、改めて存在を主張したい一戦ではあったが……。
互いに守備の勘所を抑え、リスクを最小限に。
レアルは普段通り自慢の3トップと、中盤のモドリッチ、ハメスで攻撃を組み立てようとする。特に前半はボールをキープして優位に進めたが、ゴール前まで進めず、チャンスはミドルシュートが主になる。
前半パスを回されながらも、アトレティコは守備面で要所を抑えていた。
ロナウドにカウンター時にスペースを与えないこと。
モドリッチとハメスには、縦方向をきり、横パスをさせること。
チャンスの供給役であるベンゼマにボールを入れさせないこと。
過去数シーズン、何度もマドリーを前に戦ってきた彼らは、抑えるべきポイントを把握していたのである。
レアルの守備陣も同じだ。最近調子をあげてきたグリエスマンにいい形でボールを入れさせず、セルヒオ・ラモスは対マンジュキッチで優勢に立ち続けた。目立ったのはアルダの個人技からのドリブル突破くらいだ。得点の可能性が感じられるのは得意のセットプレーくらいだったが、それもアンチェロッティの研究の成果で不発に終わっている。
アトレティコホームで4度無得点に終わったレアル。
インテンシティを前面に出し、互いの嫌なところを消し続けた90分。スコアレスはある意味必然でもあった。
「なぜ、アトレティコ相手にこれほど得点が決められないのですか?」
ある記者が試合後にアンチェロッティに尋ねた。
今季、レアルはビセンテ・カルデロンを4度訪れた(スペインスーパーカップ、国王杯、リーグ戦、CL)が、いずれも無得点に終わっている。
アンチェロッティはこう答えた。
「なぜならアトレティコは世界でも有数の守備を誇るチームだからだ。今日も崩すのに苦労したし、オブラクはとても素晴らしいセーブを見せた」
アトレティコ側にはホームで失点をしたくないという思いもあった。オブラクは「得点を決めるにこしたことはないが、ホームで失点しなかったのはよかった」とし、主将のガビも「失点しないことが目標だった」と明言した。