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アスリートは花粉症をどうしてる?
五輪選手にも急増中で、薬と対策は。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/04/10 10:30
走り勝つことをモットーにした湘南で10番を背負う菊池大介。花粉症でも、ピッチの上では平気なのだろうか。
3月に花粉症で受診したアスリートは42名。
「(取材した)今日は雨なので、『鼻水が止まらない』と言って受診するアスリートはいませんでしたね」
と、穏やかな笑みで語り始めたのは、メディカルセンターのスポーツクリニックの副主任研究員で内科医の蒲原一之さん。筑波大では医学部と陸上競技に打ち込み、卒業後は日本学生陸上競技連合に所属しつつ、JISSの内科医としても活動している。20年を超える豊富なキャリアを持つスポーツドクターだ。
医学に関しては“ズブの素人”である筆者に対して、蒲原さんは優しく丁寧に教えてくれた。
――花粉シーズン、JISSの医療室ではどれくらいのアスリートが診察を受けるんですか?
蒲原:その日ごとの花粉の飛散量もありますし、日によってバラけますね。今年3月の動向を調べてみたんですが、内科、耳鼻科、眼科の3つのいずれかを受診したのは180名いました。そのうち、花粉症で受診したというのは42名。約23%にのぼりました。
――1日一人以上のペースなんですね。アスリートも訴える症状は一般の人と一緒なんですか?
蒲原:「鼻水が止まらない」、「目が充血したり、かゆみで集中できない」ということで、プレー中に支障が出るのを気にする選手が多いですね。
アスリートの場合、気になるのはドーピング。
――その中でアスリート独特の花粉対策って、ありますか?
蒲原:アスリート特有の花粉の避け方、というものはないです。例えばマスクをする、ゴーグルをする。また家に戻ったら洗顔やうがいで、花粉を洗い流すなどの一般的な方法を徹底することですね。これはすでに、ほとんどのアスリートがやっていることです。
――で、ですよね……(苦笑)。
蒲原:そういった対策をしても症状が改善されない選手が受診した時に、薬を使うという判断になってきますね。
この段階で薬による治療をしていくわけだが、アスリートの場合は“ドーピング”が存在する。ドーピング違反にならない薬を処方しなければならないわけだが、どれくらい気を使っているものなのだろうか?