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スプリットか、ツーシームかの分岐点。
開幕炎上の田中将大は変身できるか。
posted2015/04/07 11:25
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
AFLO
2015年4月6日、ブルージェイズを開幕戦に迎えたヤンキー・スタジアムは晴天に恵まれた。
田中将大の立ち上がりも、まさに晴れ。
しかし、3回に打ち込まれ5点を失い、今季の先行きに不安を覚える出だしとなった。
まずは、今季の田中の課題を整理しておこう。
●シーズンを通して先発ローテーションを守ること
●「6回3失点以内」という“クオリティ・スタート(QS)”の高確率での実現
●QSを達成するために、球数を少なくする
●ゴロアウトを増やす意図でのツーシームの精度を高める
肘に不安を抱える中でローテーションを守るためには、球数を抑える必要がある。それにはスプリットで三振を取るスタイルから、ツーシームを投げ、ゴロで打ち取っていくタイプへの転換が求められる――それが大きな見どころといっていいだろう。
今回の登板では、たしかにその意図は感じられたし、立ち上がりは上々だった。
スロースターターの田中が、初回に理想的な投球。
まずは先頭のレイエスをスプリットで三振、2番のマーティンを三塁ゴロに打ち取り、3番のバティスタをスライダーでまたも三振。
積極的なブルージェイズ打線を、うまく“料理”した印象だった。
これなら行ける――。期待を抱かせる投球内容で、このイニングの投球こそ「2015田中将大」の理想型になるだろう。
しかし、3回に事態は暗転する。
8番のピラーに三塁線を破られるヒット。続くトラビスを歩かせてピンチが広がると(この四球はもったいなかった)、1番のレイエスが“味なゆさぶり”を仕掛けてきた。三塁手の位置を目で確認すると、いきなり初球をバント。これを三塁のヘドリーが送球エラーで先制点を許す。
犠牲バントではなく、積極的な攻めのバント。
ここから田中は魔の時間帯を迎える。