錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
錦織圭が普段我慢していることとは?
ツアー中の宿泊、食事、気晴らし事情。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2015/03/31 10:40
オフの時は、ゲームをしたり日本で録画したテレビのバラエティ番組などを見て過ごすことも多いという錦織。クルマやファッションなどの派手な趣味に走るわけでもなく、お酒もそれほど嗜まないらしい。
錦織「ほんとはゴルフができれば一番いいんですけど」
大会の序盤、オフの時間は楽しめているかと尋ねられた錦織は、「楽しめてると思いますね。ほんとはゴルフができれば一番いいんですけど、そういう余裕はない。でも、ここはおいしいレストランもたくさんありますし、車を運転して好きなところへ行ってます」と答えている。電車もバスもないという環境は旅人には不便なことこの上ないが、アメリカでの運転に困らない錦織にとって、車を借りて好きなドライブができるのはいい気晴らしになっているようだった。
さらに、聞かれていないのに宿泊しているホテルの名を明かし、「今回はオムニリゾートっていういいところに泊まっていて、とてもリラックスして過ごせてます」と続けた。その口調から、うっかり言ってしまったというよりはむしろ宣伝したのだと勝手に判断し、そのまま書かせてもらったが、聞いたからにはどういうホテルかも気になる。来年の大会をそこに泊まりながら観戦するという、できもしないことを想定して料金チェックをしてみると、最安の部屋でも1泊430ドル……。スイートなら750ドルからだった。
そんなところで「リラックスして過ごせる」錦織に今さらながら大スターの日常を見る思いだが、その手に大事そうに持っているのは、プレーヤーズレストランから持ってきた飲みかけのスムージー。どうもアンバランスなところがおもしろい。
ランクが上がってもゴルフをする余裕は生まれそうにないが……。
それはさておき、そのホテルはゴルフコースも所有するリゾートホテルだったから、錦織が残念がるのは当然だった。テニスプレーヤーにはゴルフ好きが多く、錦織も例外ではない。まだプロになる前から、帰国の折には故郷・山陰のゴルフコースを両親といっしょに回っていたというから、少なくとも10年は経っているだろう。ただ、「最近はゴルフがほとんどできていない」という言葉を聞くようになってもう2年くらいにはなる。
ランキングが上がれば、1回戦免除の大会もあるので自由時間も増えるのかと思いきや、トップにはテニスコートやジム以外での仕事が増すせいだろう、そう甘くはない。「ゴルフをする余裕はまだない」状況はずっと続きそうだ。
ツアー中に気晴らしやリラックスタイムは必要だが、こうして我慢しなくてはいけないこともある。そのバランスがもしかしたら難しいのかもしれない。食事も、好きなものを好きなだけ食べていいというわけでもないだろう。