サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
海外組の仕事は「違い」を出すこと。
南野拓実、久保裕也を襲う連係不足。
posted2015/03/30 16:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
AFLO
U-22日本代表がU-22ベトナム代表に2-0で勝利し、リオデジャネイロ五輪1次予選突破に王手をかけた。
スコアを見れば悪くないし、内容も終始試合をセーフティにコントロールしていたと言えるだろう。だが、5バックで体を張って必死に守るベトナムに対して、日本はなかなか点を取ることができず、モヤモヤした空気が流れていたのも確かだ。
では、なぜ点が奪えなかったのか。
もともと芝がユルい上に、試合直前のスコールや連日の試合で劣悪になったピッチコンディションが攻撃陣に与えた影響は決して小さくない。だが、点が取れなかった大きな要因のひとつは、連係不足だった。とりわけ海外組の久保裕也と南野拓実の2人と国内組との呼吸が合っていなかった。
というのも実は、ボランチの大島僚太、遠藤航、攻撃陣の矢島慎也と中島翔哉の4名は、久保、南野と一緒にスタメンでプレーするのは今回が初めてだったのである。
手倉森監督「海外組としての違いを」
南野と久保は昨年12月のタイ・バングラデシュ遠征に招集され、バングラデシュ戦では共にスタメンでプレーしたが、中島や大島とは一緒にプレーしていない。その後、シンガポール遠征やミャンマー戦があったが、久保と南野は招集されていなかった。
この1次予選も、南野がチームに合流したのはマカオ戦の4日前、久保が合流したのは3日前だ。数日間一緒に練習したとはいえ、この6名が一緒での実戦経験はなく、ほぼぶっつけ本番のような状態だったのだ。
それでも手倉森監督は、彼らに「海外組としての違いを見せてほしい」と期待した。A代表のコーチを兼任する指揮官は、本田圭佑、香川真司、岡崎慎司ら海外組の主力選手たちがもたらす「違い」を肌で感じ、その力を目のあたりにしていた。それゆえ五輪チームでも、同じように2人がチームに大きな影響を与える存在になってほしいと思っていたのである。