サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
海外組の仕事は「違い」を出すこと。
南野拓実、久保裕也を襲う連係不足。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2015/03/30 16:30
チュニジア戦で2ゴールを決めた中島翔哉(左)と、海外組の「違い」を見せられなかった南野拓実。世代最高の才能と言われる男の本領はいつ発揮されるのか。
合流直後の海外組がフィットしないのは以前から。
実は、海外組が数日前にチームに合流したものの、うまく国内組との連係がとれなかったケースは過去にもある。例えばジーコが指揮したドイツW杯1次予選、アウェイのシンガポール戦だ。国内組の選手は国内合宿と親善試合を経て現地入りし、入念に暑熱対策を講じていた。だが、ジーコはスタメンを2日前に合流したばかりの海外組にごっそりと入れ替えて試合に挑んだのだ。
すると、高温多湿と連係不足で海外組は力を発揮できず、先制こそしたもののシンガポールに追い付かれるなど大苦戦。最終的には国内組の藤田俊哉のゴールで勝ったが、コンディションや連係面を考えず、安易に海外組に頼ると思わぬ苦戦を強いられることになるという教訓を得た試合だった。
今回は大量の入れ替えこそなかったが、2人が点を取ることを期待されるポジションであるがゆえに、チームの得点力に与えた影響は大きかった。ただ、実戦での積み重ねがもう少しあれば、パッと集まった中でも海外組は「違い」を見せることができた可能性は高い。それが海外組の力であり、そういうタフさがなければ海外でも代表でも生き残っていくことができないからだ。
監督が久保にかけた期待の言葉。
実際、久保は監督にそのことを指摘されたという。
「監督は『A代表でも海外組の選手は、試合の数日前に来てしっかりやる』と言っていました。だから、『おまえもしっかりやれ』と言われました。『そうだな』って思いましたね。次、中1日なので、とにかくゴールを目指してやっていきたいですし、周囲の選手ともうまくやっていきたいです」
南野はベトナム戦を終えてオーストリアに戻るが、久保はマレーシア戦、もう1試合、チャンスがある。