濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
船木、鈴木、そして近藤の今……。
創設から22年、パンクラスの現在地。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2015/03/22 10:40
今年の7月で40歳になる近藤は、有己空に名前を変えて臨んだ初戦だったが、スタンドで主導権を奪われると、バウンドでTKO負けを喫した。
メインで輝いたのはかつてのホープ、北岡悟。
3月15日のディファ有明大会、そのメインイベントで勝利したのは北岡悟だった。北岡は2000年にパンクラスでプロデビュー。『戦極』でライト級王者となり、2010年にパンクラスを退団している。現在はDEEPのライト級王者である北岡だが、パンクラス新体制とはわだかまりはなく、一昨年からスタートしたワールドスラム・トーナメントに参戦してきた(この日は、長くかかったこのトーナメントの決勝戦だった)。
かつてパンクラスのホープだった北岡。いつしかパンクラスを背負うようになり、退団し、DEEPやDREAMで闘って、そして今また、北岡はパンクラスで勝ちどきをあげた。
船木が来場、向かいの会場では鈴木がGHCヘビー級王座に。
この大会には、パンクラス創設者の一人である船木誠勝も来場した。テレビ東京の特番でナビゲーターを務めることになり、観客に挨拶を行なったのだ。現在はプロレス団体『WRESTLE-1』で活躍する船木だが、パンクラスを語る上で欠かせない人物であるのは間違いない。
付け加えると、この日、ディファの向かいにある有明コロシアムでは、船木とともにパンクラスを創った鈴木みのるがプロレスリング・ノア有明コロシアム大会でGHCヘビー級王座を獲得している。パンクラスで行なわれた試合には関係のないことだが、そういうところにまで思いを馳せさせるのが“歴史”というものだろう。
初期からパンクラスに上がり続けている選手もいる。第4試合で判定勝利を収めた伊藤崇文は、1995年にデビューしたパンクラスの生え抜き第1号選手。1996年デビューの近藤有己は、今回から有己空(ゆうきそら)とリングネームを変え、鈴木槙吾と対戦するもTKO負けを喫した。鈴木は1986年4月生まれだから、有己空がデビューした時には10歳だった。