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メルセデス以外、全チーム混沌!?
F1開幕戦、豪州GPが呆気無く終了。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2015/03/16 11:15
ドライバーもマシンも混乱の最中にスタートした2015年シーズン。メルセデスは、1980年代のマクラーレンや1990年代のウィリアムズのようになるか……。
マシンはあるが、出走さえできなかったマルシア。
開幕直前に、なんとかマノーの名前で参戦に漕ぎ付けたマルシアにとっても、オーストラリアGPの週末は厳しい結果が待っていた。
なぜなら、マシンは組みあげたものの、ソフトウェアの問題でマシンを走らせられなかったからだ。
マルシアは昨年末、管財人の管理下に収められた際、データの流出を防ぐために、コンピュータ内にあったデータをすべて消去していたのである。チームによれば、それは「パワーユニットを動かすためのフェラーリのデータだけでなく、マシンを走らせるための車体側のデータも含まれていた」という。結局、マルシアは3月14日の予選までにデータを復旧させることができず、予選落ち。日曜日のレースに参加することはできなかった。
元王者をして「ルノーの大失態。信じられない」。
レースに参加した後に発生した問題に悩まされたのが、レッドブルとホンダだった。
レッドブルは初日にダニエル・リチャルドのマシンに搭載されていたパワーユニットに不具合が発生するという非常事態の中での開幕戦となった。
昨年は年間5基まで使用することができたパワーユニットは、レギュレーションによって、今年は4基までに制限されている。その虎の子のパワーユニットが開幕戦の初日に使用不能となったリチャルドは、全20戦の2015年シーズンを3基で戦わなければならなくなった。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「これは明らかにルノーの大失態。信じられない」と、ルノーへの不信感を募らせていた。
ホーナーの怒りの矛先は、レギュレーションを司るFIAにも向けられた。
「そもそも、昨年から導入されたパワーユニットがあまりにも複雑すぎる。ホンダという、かつてF1で輝かしい栄光を収めた企業でさえ、あれだけ苦労し、遅れてしまったという事実を見ると、やはり今のレギュレーションはどこかが間違っているとしか思えない」