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福西崇史が語るミランと本田圭佑。
「チーム戦術の犠牲になっている」
posted2015/02/25 16:30
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Sports Graphic Number
メルマガ「福西崇史の『考えるサッカー』」、
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!
<目次>
【1】《福西と茂野のキックオフ前? 雑談》(1)
~ プーマ伝統のスパイクといえば…… ~
【2】《福西と茂野のキックオフ前? 雑談》(2)
~ こだわっているのは足裏のポイント部分 ~
【3】《いよいよ佳境! 欧州フットボールを探ろう Part.2》(1)
~ ユナイテッドに見る、個人能力とチーム全体のバランス ~
【4】《いよいよ佳境! 欧州フットボールを探ろう Part.2》(2)
~ 吉田が所属、サウサンプトンから感じるプレミアのレベル ~
【5】《いよいよ佳境! 欧州フットボールを探ろう Part.2》(3)
~ まだまだ個人頼み? ミランと本田の正念場 ~
【6】《Takashi's Eye》Player No.2 ポグバ(ユベントス)
~ ダイナミズムとテクニック、フランスの新世代MF ~
【7】《アディショナルトーク!》終了間際の反省会&次号予告
~ 海外サッカーって、現役時代観てました? ~
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【5】《いよいよ佳境! 欧州フットボールを探ろう Part.2》(3)
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~ まだまだ個人頼み? ミランと本田の正念場 ~
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――さてセリエAではユーベが首位を走ってます。個人能力もあってチームも成熟してるのかなぁと思うんですけど、誰か注目してる選手はいますか?
福西:あれ、ここで引っ張ってたポグバの話?
――……違う選手でお願いします。
福西:(笑)。やっぱりピルロのチームだなって思う。正確なショートパス、ロングパスを通してリズムを作るからね。運動量やフィジカルの部分で弱点があるピルロを、ポグバが助けているんだよね。あと背番号8の選手。えーっと……。名前が出てこない。
――ん? 誰だろう?
福西:けっこう似ている名前が多いんだよ。えーっと……。
――誰だっけなあ。あ、手元にNumberの欧州蹴球名鑑があるから調べますね。
福西:おお、サンキュー!
――ユベントス、ユベントスと……。あ、マルキージオですよ!
福西:あ~そうだ、マルキージオ! 誰と勘違いしたんだっけな……。
――よし、福西さんを混乱させてやろうか。マルキオンニでしょ、マルディーニでしょ、マルセリーニョでしょ……。
福西:いらんことせんでいいし、マルセリーニョはブラジル人だろ(笑)。マルキージオは運動量があるからピルロのバックアップもしつつ、攻撃にも絡める。チームのバランスもしっかり維持してるのかなって思うよ。
――個々の良さがお互いの弱点を補い合って、チームとして成熟しているんですかね。
福西:そこもチーム力を高くしている一因だよね。
チーム力がものを言う終盤戦では厳しいかもしれない。
――ちなみにセリエAってよく戦術的って言われるんですけども、解説されていてどう感じますか?
福西:色々なリーグの解説をしているから、むしろどこの国も戦術的になってきているなあ、って気はするかな。大事なのはその戦術が浸透してるのか? っていうところなんだよ。さっき話したユナイテッド、あとはミランとかは、戦術的にチームができてない感じがまだ出ちゃってるかなあ。
――そのミランは本田やメネズといった前線の才能ある選手がいるわけですが……。
福西:ユナイテッドと一緒で、“個の力でなんとかしよう”としている感じがするけど、それだけだと厳しいんだよね。これから迎える終盤戦では、最終的にチーム力がものを言うんだから。
――ちなみにミランなんですが、序盤戦こそまずまずの成績を残していました。ただ……。
福西:アジアカップの期間中、本田が日本代表で抜けていた頃に全然勝てなかった。
――そうなんですよね。そこに本田が戻ってきて、チーム状況が上向きになるかなと思ったんですが、チームとしては今一つしっくりきていません。先週のチェゼーナ戦では2-0で勝ったんですけどね。
福西:これだけ時間をかけても監督のインザーギがやりたいことができていないってことは難しいところ。チャンピオンズリーグ出場権獲得(3位以内)は相当難しそうだけど、最低限でもヨーロッパリーグの出場権(5位以内)は掴まなきゃいけない名門だからね。
――現状、5位と勝ち点6差の8位です。その中で本田の役割なんですが……。
福西:この前のチェゼーナ戦では出番なしに終わった。
――ですね。その前のエンポリ戦では先発出場したんですが、本田の良さをゴール前で生かせていない感じでした。
福西:チーム全体にいい流れがあった序盤戦では本田も前で仕事ができていた。ただ、今は攻守のバランスが良くないから、相当な距離を走って守備をしなきゃいけないし、数的不利の状況でも何とかキープしないといけない。
――それをゴール前で発揮させるようなチームプレーが生まれればいいんですが……。
福西:あと、忘れがちだけど、本田は出し手としても力がある分、パサーの役割もこなしているんだよね。ただ、色々な役割を引き受けちゃっている形になってるから、そこで体力も奪われてしまう。本田が本来こなしたいはずのゴール前の決定的な仕事に、力を注げないんだよね。このジレンマをどうやって乗り越えていくのか。本田にとっては正念場になるはず。
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