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アロンソ「必ず、伝説を蘇らせる」。
“セナのホンダ”でやり残した仕事。
posted2015/02/24 11:30
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
AP/AFLO
ホンダがシーズン前テストで苦しんでいる。
2月22日にはテスト走行中に、アロンソが“予測不能の突風”(チーム発表)によるアクシデントでクラッシュ。そのまま入院となり、大きな怪我は無いとされているが、現在も経過観察中となっている。結局、ホンダはとりあえずこのテストを早仕舞いすることとなった。
とはいえ、久々のF1復帰なのだから試行錯誤はつきもの。むしろ、アロンソとバトンという、脂の乗り切ったチャンピオンドライバーが、なぜ今ホンダを選んだのか? ということこそを、いま考えるべきではないかと思っている。
なぜアロンソとバトンはホンダを選んだのか?
アロンソ&バトンというドライバーラインアップをマクラーレンが発表したのは、昨年12月11日。すでにメルセデスAMG、レッドブル、ウイリアムズ、フェラーリという2014年のトップ4のシートは決定していただけでなく、下位チームのシートもほとんど埋まっていた。
アロンソとバトンというチャンピオン経験者であれば、彼らを欲しがるチームはいくらでもあり、12月まで待たなくとも2015年のシートを得ることはできたはずだ。しかし、アロンソもバトンも、そうはしなかった。なぜなら、彼らは2人とも、マクラーレン・ホンダの一員になる道を自らの判断で選んでいたからだ。
それは、やり残した仕事がそこにあったからだ。
フェラーリでの2年間よりホンダを取ったアロンソ。
アロンソがマクラーレン・ホンダへ行くためには、ひとつの問題があった。それは2016年まで締結していたフェラーリとの契約である。
「フェラーリで2度、タイトル獲得まであと一歩という経験をしたし、あと2年フェラーリと契約が残っていたから、残留することもできた。でも、ホンダのほうが可能性は高いと感じた」と語るアロンソ。
じつは、アロンソのホンダへの憧れは、少年時代から抱いていたものだった。
「3歳のとき父が買ってくれたゴーカートのカラーリングが赤と白の'80年代のマクラーレン・ホンダのものだったんだ。その後、写真やビデオを見て、さらにセナに憧れるようになり、自分の部屋にセナのポスターも貼っていたよ」