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僕らがF1でホンダを応援するワケ。
もう一度見たい、本物の“反逆精神”。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2015/02/20 10:45
2015年2月10日の記者発表イベントに際し、東京・青山にあるホンダ本社前にズラリとならんだ往年のF1マシンたち。
絶対王者メルセデスを、あえて真似しない。
昨年、F1を席巻したメルセデス。そのアドバンテージは通常密着して存在しているターボユニットのタービンとコンプレッサーを分離するというユニークな構造にあった。それゆえ、2015年に1年遅れて参戦するホンダが、そのシステムを採用するかどうかが注目された。
ところが、昨年何度か取材した際、ホンダの新井康久(専務執行役員/F1プロジェクト総責任者)は「本当に大切なことはそこではない」と語り、ホンダは独自のやり方で新しいパワーユニットを開発しているということに含みを持たせる発言をしていたのである。
強いホンダより、チャレンジするホンダこそ……。
2月19日から、今シーズン2度目の合同テストがバルセロナでスタートしている。
人々の関心は、ヘレスでは4日間で79周に終わったホンダが、バルセロナでどれほどの周回数をこなすのか、トップとのギャップをどれだけ詰めるのかに集まっていることだろう。しかし、私たち日本人がこれまでホンダのF1活動に感動してきたのは、16戦15勝(1988年)といったコース上でのパフォーマンスだけではない。そこに常に「チャレンジする」というホンダのフィロソフィが貫かれていたからだ。ならば、いまは安易に結果を求めず、彼らのチャレンジを見守ろうではないか。
強いホンダよりも、チャレンジするホンダのほうが、私は好きだ。