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再建遠いミラン、問題は2人の老人?
一貫性のない安値補強は終わるのか。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/02/12 10:40
ミランで長年にわたり絶大な権力を握るガッリアーニ副社長兼CEO。CLを5回、スクデットを8回獲得した手腕も最近は翳りがち。晩節を飾ることはできるのか。
「今の戦力で3位以上を狙うなど到底不可能」
物事が上手く運ばないクラブは、チームと経営陣、ファンの三者が乖離していることが多い。
現在のミランの低迷を見ていると、カルチョ・スキャンダル後に迷走したユベントスやセンシ一族による経営が終焉した'11年頃のローマを思い出す。
再出発を果たした両クラブの転機は、それぞれ有能なフロントや外国人オーナー経営者を外部から招き、組織系統を一新したことだった。
名門再建というミッションは、ある意味で更地に一から何かを築きあげるよりも厳しい難事業なのかもしれない。就任1年目のインザーギがシーズンを折り返した1月、ミランに対する現地メディアの後半戦展望は、辛辣そのものだった。
「今季の戦力で3位以上を狙うなど到底不可能。5位でも上出来だとサポーターは見抜いている。ミラン上層部は大きな過ちを犯した。現有戦力は過大評価されている」(『ガゼッタ・デッロ・スポルト』)
監督インザーギや選手たちの頑張りだけで、ミラン再建が成し遂げられるはずはない。
ミランに求められているのは、ベルルスコーニ&ガッリアーニによる二頭体制を終わらせ、バルバラと現場を統括する新しいディレクターによる組織構造の刷新だ。
そのXデーこそ、ミランが“ふりだし”からやり直す日なのだろう。