錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
『TIME』誌の表紙で世界的スターへ。
全豪で錦織を待ち受ける強敵と栄光。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph bySports Graphic Number
posted2015/01/15 10:45
“THE WAY OF KEI”という表題と共に「日本テニス界のスター選手・錦織圭が世界をとる」と綴ってある『TIME』誌の表紙。
ワウリンカ、フェレールなどのベテラン勢も健在。
ラオニッチをフルセットで退けてツアー通算1000勝目という偉業とともに優勝を遂げた33歳の“帝王”フェデラーはもちろんのこと、ブリスベン以外の開幕戦――チェンナイとドーハ――をぞれぞれ制した全豪オープン覇者のスタン・ワウリンカや全仏準優勝のフェレールといったベテランの面々も上々のスタートを切った。開幕戦では不覚をとったジョコビッチやナダルも、まだ名を知られていない新鋭も、誰も彼もが全力で照準を合わせてくる舞台がグランドスラムだ。そこで5セットマッチを7回勝つということは、実力だけでなく、調子も運も全てが噛み合わなくては果たせない。
だが、そう言ったところで、全豪オープンでいきなりピークに達しようとしている日本からの応援熱は冷めるはずもないだろう。日本だけではない。この全豪は「グランドスラム・オブ・アジア-パシフィック」と謳ってアジアとのつながりをアピールしている大会でもある。これまで中国のテニス熱を牽引してきた李娜は昨年秋に電撃引退し、中国の巨大市場を中心に膨れ上がったアジアテニスの熱は行き場をなくしたようにも見えるが、だからこそアジアの新しい顔としての錦織の存在は大会にとっても欠かせない。
あいかわらず大きなものを背負った戦いが始まる。だが「プレッシャー」などという言葉を安易に使うのはもうやめよう。
頂を目指して進み続ける人に、不釣り合いだと思うから。