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混戦の2歳GIは2週連続で蛯名正義。
“白いディープ”ダノンプラチナの輝き。
posted2014/12/22 11:25
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
またディープ産駒の関東馬、鞍上も先週と同じ蛯名正義だった。
今年から阪神芝外回り1600mで行なわれるようになった2歳王者決定戦、第66回朝日杯フューチュリティステークス(12月21日、GI)を制したのは、出走馬中唯一のディープインパクト産駒のダノンプラチナ(牡、美浦・国枝栄厩舎)だった。
前週の阪神ジュベナイルフィリーズ同様、戦前は混戦模様で、1番人気になる馬を予想するのも難しいほどだった。結局、前2走のマイル戦で強い勝ち方をしてここに来たダノンプラチナが単勝4.6倍の1番人気に支持された。2戦2勝で札幌2歳ステークスを勝ったブライトエンブレムが単勝5.0倍の2番人気、2連勝中のクラリティスカイが3番人気、オルフェーヴルの全弟アッシュゴールドが4番人気で、どちらも単勝5.3倍と、上位人気馬のオッズは拮抗していた。
前日の雨の影響で、実質的には重馬場だった。
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馬場は前日の雨の影響で湿りけを帯びており、第4レースまでは重、第5レース以降は稍重発表。だが、稍重発表になってからも前が残りがちで、どの馬も最後に速い脚を使うことができずにいた。実質的には重のままと考えてよさそうだった。
私は所用のため、このレースを、中山競馬場検量室入口のモニターで見ることになった。騎乗を終えた騎手たちが集まってきて、天井近くに設置されたモニターを見上げている。
「田辺(裕信)は、自分の馬(ブライトエンブレム)はこういう馬場がいい、って言ってたよ」というベテラン騎手の声が後ろから聞こえてきた。
ゲートがあいた。京王杯2歳ステークスを逃げ切ったセカンドテーブルを制し、武豊のアクティブミノルが先手をとった。武は第6レースを3コーナーから先頭に立つ「奇襲」で勝っていた。ここでも馬場状態を生かした戦術をとったわけだ。
やや離れた3番手にメイショウマサカゼ、直後にタガノアザガル、ジャストドゥイングらがいる。
その後ろにつけていた人気の一角、クラリティスカイが外からじわっと進出し、ブライトエンブレムもマークするようにポジションを上げる。