オリンピックへの道BACK NUMBER
「負けないスケーター」という理想。
羽生結弦がGPファイナルで追うもの。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2014/12/11 10:50
NHK杯には難易度を落とした構成で出場したが、コンディションの悪さは隠せず、本来の演技を見せるには至らなかった。GPファイナルでは最高の演技を見せて欲しい。
徹底した負けず嫌いが、羽生の土台。
これから目指していきたい、思い描いているスケーター像は?
そう尋ねると、こう答えた。
「選手1人1人、いろいろな特徴であったり、得意とするところがあると思います。この選手ならこれ、と。でも僕は、絶対に負けないスケーターになるというのが、考えているところです」
それらの言葉にうかがえるのは、徹底した負けず嫌いであること。そして勝負への強いこだわりである。
それが羽生の土台となっている。
そういえば、2年前の世界選手権では捻挫し、棄権を考えざるを得ない中での演技を強いられている。そんな状況下でもショートプログラムからフリーで順位をあげ、銅メダルを獲得した。
逆境をも跳ね返そうという負けず嫌いっぷりはある意味、反骨心、反逆心という言葉が近いのかもしれない。
最下位でのグランプリファイナル進出、果たして。
そうしたメンタルが中国杯の強行出場、NHK杯出場につながったし、NHK杯後の言葉もまた、その延長線の上にある。
さらに言えば、NHK杯でもしあと1つ順位が下だったらグランプリファイナルには進出できなかった。ぎりぎりの順位で進出をつかめたのも、羽生の執念であったと言えるのではないか。
そして今、グランプリファイナル開幕を目の前にしている。
NHK杯での演技を挽回しようとこの2週間弱、いつも以上に追い込んだ練習量をしてきたという。
12日にはショートプログラム、13日にはフリーが控える。
「チャレンジャーとして、一番上を狙っていきたいです」
NHK杯後に抱負を語っていたこの大会で、最下位での進出という位置から、逆襲を期している。