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MVP候補のスペイン人、ガソルとメンフィスの“縁”。
~好調グリズリーズの大黒柱として~
posted2014/12/11 10:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
メンフィスは独特の空気を持った街だ。労働者の歌、ブルースを生んだ街。南部独特の温かさの一方で、外からはその真骨頂はわからないという自負を感じさせる土地でもある。
そんな街を代表するチーム、メンフィス・グリズリーズの大黒柱がスペインから来た選手というのは、一見ミスマッチにも思えるが、実はそのスペイン人、マルク・ガソルこそ、チームの誰よりもメンフィスの街に縁深いのだから面白い。
さかのぼること13年半前、ガソルは兄のパウがグリズリーズに入ったときに、両親や兄弟とともにメンフィス郊外に移り住んだ。当時、まだ16歳の少年だった彼は地元の高校に入り、卒業までの2年間を過ごした。その後、いったん帰国したが、'08年にアメリカに戻り、彼自身がグリズリーズ入り。以来6年余、高校時代とあわせると、すでに8年以上の年月をメンフィスで過ごしている。芸術家肌の兄と比べて、むしろ質実剛健なマルクは独特な風土にも溶け込んでいる。