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佐藤琢磨、苦難のシーズンを終え、
インディカーでの2勝目を誓う。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTS Enterprise
posted2014/12/01 10:30
チームメートとなるジャック・ホークスワークとともに、新体制を発表した。
契約延長、予算増加、2台体制と次々に追い風が!
トライ&エラーでレースに挑み、表彰台にあと一歩まで迫る中、“あともう1セッション、セッティングを試すことができれば”と考えることもあった。
今季インディカーシリーズを制したウィル・パワーが所属するチーム・ペンスキーのように複数台体制であれば、データをさらに蓄積でき、トップとの差を埋めることが出来るはず――。
短いオフを過ごしていた琢磨に朗報が届いた。
シーズンを通して、チームの戦闘力を高める琢磨の能力をAJフォイトは高く評価。契約延長が提示された。さらに今年10月には、チームのメインスポンサーのABCサプライが、スポンサード10周年を記念して、予算の増額を決定。来季のフルタイムの2台体制が発表されたのだ。
「1台体制の良さもありますが、今の時代と環境ではその恩恵はほとんど得られず、複数台体制をずっと渇望していたんです。特に来年はテスト日数制限のレギュレーションが厳しくなるため、セットアップを合わせこむには1台では限界があります。
走行時間を有効に使い、質の高いテストをするためにも、新しく導入されるエアロパッケージを使いこなすためにも、複数台体制が必要不可欠です。
冬のテストでは、去年までよりも2倍の情報量が入ってくるわけですから、エンジニアリングも強化して、新シーズンに挑みたい。優勝した'13年があり、苦しくも後半にチーム力をあげることができた'14年。実はこの流れは繋がっていて、'15年のシーズンは本当に複数回の優勝を狙っています。
そして、オーバルでも優勝を!」
「上を目指す気持ちは、若いときとなんら変わらない」
6年目のシーズン開幕は来年3月8日、ブラジルとなる。
来季はインディ参戦100レースを数える琢磨も37歳となり、ベテランの域に入ってきた。心技体に衰えは感じないのだろうか。
「確かに十代、二十代前半のドライバーを見ていると若さは多少なりとも脅威に感じることはありますよ。来季のチームメイトも23才のジャック・ホークスワーク。トニー・レナ・ライジング・スター賞を獲得した気鋭のドライバーです。でも、彼からは良い刺激も受けるだろうし、お互いにレベルを上げて行きたい。気持ちはこれまでよりも上がっているくらいなんです。
フィジカル面でも、契約しているデサントの担当者に、トレーニングウェアの開発について積極的に意見を伝えています。どうせやるならいい物を作りたいですしね。そうすると、自分も結果を残さなくちゃいけなくなる。逃げ道をなくすんです。不器用な生き方かもしれないですが、そうやって自身を奮い立たせてやってきました。だから今でも、自分でハードルを上げてしまいますね。上を目指したいという気持ちは、若いときと変わらないんです」