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オオタニはメジャーでエースの器!
日米野球で証明されたその“真価”。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2014/11/27 11:00

オオタニはメジャーでエースの器!日米野球で証明されたその“真価”。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

札幌ドームで開催された日米野球第5戦に先発登板。4回68球を投げ6安打2失点だったが、7つの三振を奪取。直球主体のパワーピッチで、「日本に大谷あり」をメジャーに印象づけた。

先発した第5戦で見せた「ジキルとハイド」の顔。

 この日米野球での登板は2度。1度目は中継ぎで1イニングを投げた第1戦で、2度目は札幌ドームでの第5戦での先発だった。

 第1戦ではほとんどストレート一本で三者凡退に抑えたが、先発した第5戦は様々な“顔”を見せるマウンドとなった。

 初回にいきなり先頭のホセ・アルトゥーベ内野手に外角153kmの真っ直ぐを右前に運ばれた。しかし、そこから2番のヤシエル・プイグ外野手をストレートで、3番のジャスティン・モーノー内野手をスプリットで、そして4番のイヴァン・ロンゴリア内野手を再びストレートで三者連続三振に抑えた。この回の全12球のうち、9球がストレートというパワーピッチだった。

 そして、ジキルとハイドのような両面を見せたのが3回と4回だ。

「マウンドには違和感はなかったが、ボールはやはりなかなか慣れない」

 第1戦での登板後に本人がこう語っていたように、メジャー球がなかなか手につかないせいか、この日の大谷は制球で苦労してジキル大谷が顔を見せた。

 3回は無死一、三塁から嶋基宏捕手が外角に構えた153kmのストレートが、内角への逆球となって捕逸で1点を献上。内野ゴロの間に2点目を失うと、さらに安打、四球、死球で1死満塁とピンチを広げた。

 だが、ここでハイド大谷の登場だ。続く指名打者の5番、カルロス・サンタナ内野手を154kmの内角ストレートで、続くサルバトーレ・ペレス捕手も155kmの真っ直ぐで空振り三振に切ってとってピンチを凌いだ。

 続く4回も2死から連続安打でピンチを招いたが、プイグを139kmのスプリットで空振り三振に仕留めて切り抜けている。

「狙いにいって空振りをとれたのがよかった」

「狙いにいったとき、空振りをとることができたのが良かった」

 この日のピッチングを、大谷はこう振り返った。2回には7番のベン・ゾブリスト内野手に対して、シーズン中にはほとんど使っていないカーブを2球続けて投げるなど大胆な面も見せてのマウンドだった。

「カーブやいろんな球種を混ぜながらいけたのは良かったと思います。シーズン中は使っていなかったボールですけど、それを使えて良かったなと思います」

 試合後に屈託なくこう語る姿も、堂々としたものだった。

【次ページ】 メジャー勢が大谷を評価するポイントとは?

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