プロ野球亭日乗BACK NUMBER
オオタニはメジャーでエースの器!
日米野球で証明されたその“真価”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2014/11/27 11:00
札幌ドームで開催された日米野球第5戦に先発登板。4回68球を投げ6安打2失点だったが、7つの三振を奪取。直球主体のパワーピッチで、「日本に大谷あり」をメジャーに印象づけた。
メジャー勢が大谷を評価するポイントとは?
「もし彼がこのオフに海を渡れば、ヤンキースが昨オフに25歳の田中(将大投手)と結んだ7年総額1億5500万ドル(約182億円)を上回る契約になる」
大谷の登板を受けて、こう書き立てたのは大リーグの公式サイトだった。
もちろんこれはセンセーショナリズムな要素のある記事ではあるが、ただそこには冒頭でエスコバーが評したように、エースとしての可能性を見るメジャーの評価がある。
「彼はまだ20歳という若さで、これからまだまだ成長するということだ」
実際に対戦したロンゴリアも、大谷をこう分析している。
「体も大きいし真っ直ぐも速い。体がもっとしっかりしてくれば、平均的に100マイル(160km)を出せるようになると思う。それとスプリットも速くて落差があるから、非常に手強い投手になると思うよ」
精神面の強さを感じたというのはモーノーだった。
「とにかく向かってくるところがすごいね。ストライクを投げてくる。彼ぐらいのキャリアの選手だと、マウンドでどうしても怖がるような素振りを見せる投手が多いんだ。でも彼は非常に攻撃的だった。対戦したくなる投手だね」
心身ともにメジャーでやれるだけのタフさがある。エスコバーの言う「タフ」という言葉には、その辺も含まれていたのかもしれない。
大谷「一番感じたのはスイングスピードの速さ」
一方の大谷本人は、メジャーの打者との対戦でどんな収穫を得たのだろうか。
「対戦して一番感じたのはスイングスピードの速さですね」
大谷のメジャー打者評だ。
「僕たちが1m手前から振り出さないと間に合わないところを、向こうはスイングが速いから、あと数cm体に引きつけてからスイングを始めても間に合う。その分ボールを長く見られる。だから簡単にはボール球に手を出さない。投げていて、すごくイヤですね」
そのスイングスピードの速さはどこからくるのかというと、それは強靭な肉体だと分析する。
「体の強さがあるから反動をつけなくても強いスイングができる。ムダな動きが少ないと感じました。打者としても参考になりますし、投手としても攻め方を考えないといけないと思った」
その中に飛び込んだら、自分がやっていける自信を得ることができたのか?
「まだまだ手の届かないようなレベルですけど、これから1年1年積み重ねて、少しでも近づけるように頑張りたい」