JリーグPRESSBACK NUMBER
北九州はなぜ3位を目指すのか。
J1昇格を断たれたクラブの“意地”。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byJ.LEAGUE.PHOTOS
posted2014/11/20 10:40
ギラヴァンツ北九州で、今季はリーグ戦41試合中37試合に先発出場している前田和哉。ディフェンスラインに前田がいることは、チームの精神的なよりどころになっている。
「ピッチ上の条件なら、このチームはJ1に行ける」
もちろんプロである以上、胸に抱くのは“清らかな気持ち”だけではない。プライド、意地がそこにはある。残り2節となった11月9日の湘南ベルマーレ戦後、前田はこんな思いを口にした。
「もちろん3位を強く目指しています。そこにはいろんな意味があると思います。本来は『力が上のチームから上のリーグに行くべき』という考えが自然なはずです。そういったなかで、自分たちを除いたチームでプレーオフをやることになれば、その事実がみんなにどう伝わるか。それがもし3位だとしたらどう伝わるか。いやらしい話かもしれないけど、このモチベーションをもって、残り試合を戦いたい」
一方柱谷監督は「試合に出たい、上手くなりたいという思いが強い選手たち」と自チームを評する。当然、一つでも上の順位を狙う。湘南戦後にはこんな話をしていた。
「42試合戦って3位にいるということは、シンプルに3番目に強いことの証明。ピッチ上での条件だけで言うと、このチームはJ1に行けるという評価を受けるべきだと思う。選手たちには、4位と3位は全然違うと言っている。そういった意味からも、残り2試合も3位を狙いたいなと思います」
なんでクラブの「格」を人が決めるのですか。
世界中のプロスポーツの選手たちはみんなそうだ。勝利を目的に戦う。じゃあ勝利を得ても「結果」は得られないのか。そんな矛盾を知らしめるため、ギラヴァンツ北九州は最終節に臨む。現状は5位で、3位との勝ち点差は1。順位を争うジュビロ磐田、ジェフユナイテッド千葉、モンテディオ山形とは得失点差で10点近いの差をつけられている。
筆者自身も郷里のチームを猛烈に応援する立場として、勝って堂々と言い切りたい。なんでクラブの「格」を人が決めるのですか。どうあるかは自分たちが決めるものですよ、と。