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大谷翔平の獲得合戦は始まっている!
速く、そして動くストレートの威力。

posted2014/11/14 10:40

 
大谷翔平の獲得合戦は始まっている!速く、そして動くストレートの威力。<Number Web> photograph by Kyodo News

日米野球第1戦に登板した大谷翔平。シーズン中には日本人史上最速の162kmを記録し、11勝4敗と二桁勝利を達成。まだ2年目、大谷はどこまで成長していくのだろう。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Kyodo News

 日米野球の一つの側面に、日本人選手のメジャーへの品評会という性質がある。

 11月12日の京セラドームで行われた第1戦でも、ネット裏にはメジャーのスカウトが20人近く陣取って、スピードガンとビデオを手に、熱心に日本人選手のデータ収集に精を出していた。

 もちろん彼らのお目当ては今オフにメジャー移籍があるかもしれないオリックスの金子千尋投手や、これまた近い将来にメジャーに移籍するであろう広島の前田健太投手ということになるのだろうが、その中でちょっと異彩を放っていたのが日本ハムの大谷翔平投手への熱い視線だった。

「ボールに慣れていないため、ストレートが高めに浮いている印象があった。それでも素晴らしいスピードだったし、魅力は十分に伝わった」

「今日、一番、印象に残った選手はオータニだ! 素晴らしい真っ直ぐを投げる」

すでに水面下で始まっている、大谷の獲得合戦。

 ただ、こんなスカウトたちの絶賛の声の中で、ことさら慎重な姿勢を崩さなかったのがフィラデルフィア・フィリーズのスカウトだった。

「彼は日本の球団が保有権を持つ選手だから、コメントはできない」

 当たり前といえば当たり前の話である。ただ大谷のメジャー移籍が現実的になるのは、まだ4、5年は先のことなのだ。そんな選手に保有権を持ち出してコメントを拒否するところに、逆にこのスカウトの“本気”を感じるのである。

「この選手は本気で取りにいく価値のある選手だから、たとえ社交辞令的な言葉であっても、将来に付け入られるようなスキは与えたくない」

 生き馬の目を抜くようなメジャーリーグでの大谷の獲得合戦は、実はすでに水面下で始まっていると感じた場面である。

 そして、それぐらいにメジャーのスカウト達を本気にさせる鮮烈な“デビュー戦”だった。

【次ページ】 150km台後半のストレートに、球場からため息。

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