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オシムがブラジル戦惨敗を語る。
「些末なことは気にする必要はない」
posted2014/11/05 16:30
text by
イビチャ・オシムIvica Osim
photograph by
Sports Graphic Number
メルマガ「イビチャ・オシムの『オシム問答』」。
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!
▼Lesson.89 目次
【1】 〈今週の「オシム問答」〉
「大衆やサポーターの支持がなかったら、サッカーは成り立たない」
【2】 〈オシムとの対話〉
「バルカンは、アルバニアとセルビアの問題で状況は最悪だ」
【3】 〈バドゥ・ビエイラが語るジョホールバルの真実 ~第2回~〉
「アジジの負傷騒動、そして本当に怖かったのは相馬と名良橋だ」
【4】 〈オシムの教え〉
「チームの成長する姿を見て喜ばしく思うのは、子供と変わらない」
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【2】 〈オシムとの対話〉
「バルカンは、アルバニアとセルビアの問題で状況は最悪だ」
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――元気ですか?
オシム:ああ、悪くないよ。君はどうだ?
――ええ、まあまあです。シンガポールとミャンマーから戻ったばかりです。
オシム:そこで何があったんだ。試合に出たのか?
――まさか(笑)。シンガポールは日本対ブラジル戦で、ミャンマーはU-19アジア選手権でした。
オシム:そういうことか。それでどうだったんだ。すべてつつがなかったのか?
――どちらもいい国でしたが、肝心の日本代表は……。
オシム:新監督のアギーレはどうなんだ。
――いろいろなことを試そうとしています。ブラジル戦もそうでした。
オシム:チームをいくらかは変えたのか?
――ええ、ずいぶん変えています。新しい選手をたくさん試しましたから。
オシム:それはいい。多くの選手を実際に起用してみるのはいいことだ。
――今はJリーグの選手を重点的に起用しています。
オシム:それこそやるべきことだ。自分の家(国内)にいる選手をこそよく見るべきだ。
――だからブラジル戦にも、Jリーグの選手を多く起用しました。
オシム:それはいい試みだ。試合からいろいろな情報を得られただろう。とりわけ選手に関して。今後の選考の大きな判断材料になったはずだ。
――こういう感じでアジアカップに向けて準備しています。
オシム:重要なことだけをやっていけばいい。それ以外の些末なことは気にする必要はない。まったく意味がないわけではないが、どうやっていくかこそが重要だ。フランス人がいつもいっているだろう。“方法は方法である”と。ときにそれ(選択の誤り)が致命傷になることもある。4対0で負けたのは、どこかに誤りがあったからだ。
――その通りなのでしょう(笑)。しかし試合後の会見で、彼は多くの情報を得られたと述べていました。
オシム:それならいいが。チームを構築しようとすれば、何試合もテストマッチが必要だ。選手も繰り返し試す必要がある。とりわけ“ティキ・タカ”を実践するのであれば、それに見合った特別な選手が不可欠だ。だからこそすべての選手を観察する必要がある。
そして最終目的はワールドカップ予選を突破することだ。それこそが最も重要で、すべてはワールドカップのためにある。予選を戦う過程で得られたもの、そして本大会で得られたものが、日本のサッカーを進化させる。
ナショナリズムを前面に押し出すのは、もういい加減止めにすべきだ。
――その通りだと思います。それでボスニアはどうですか?
オシム:ボスニアの状況はずっと同じだ。それからバルカンに関しては、アルバニアとセルビアの問題(EURO予選でのトラブル)で状況は最悪だ。危険な状況といえる。抽選をコントロールすることはできないからな。そこは抽選の結果を受け入れるしかない。今回はそうはならなかったが、次の予選でクロアチア対ボスニアや、セルビア対ボスニアの対戦が決まったら、それが新たな紛争の火種になりかねない。
ナショナリズムを前面に押し出すのは、もういい加減止めにすべきだ。民族主義は差別を生み出す。だから状況を安定させて議論をする必要がある。
それからプラティニの決断にもかかっている。UEFAとしてどうするのか。バルカンの情勢はずっと不安定だ。政治レベルでの問題解決が望まれる。試合は避けることはできないのだから。抽選の結果、試合が決まってしまったら、それはやらないわけにはいかない。
セルビア対アルバニア戦に関しては、よく注意を払っていたら、何かが起こる可能性があったことを試合前に分かっていたかもしれない。試合を延期することも可能だったはずだ。簡単なことで、アクシデントは避けられた。しかし事故は起こってしまった。これからどうするのか、何を決めていくのか。状況が改善されるのを願うばかりだ。
続きは、メルマガNumber「イビチャ・オシムの『オシム問答』」でぜひお読みください。