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7000万人が熱狂する、ある“競技”。
ゲームはスポーツになれるのか?
posted2014/10/27 10:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Sports Graphic Number
2014年10月19日、ソウルワールドカップスタジアム。
日韓W杯の開会式が行われたアジア最大のサッカースタジアムはその日、ある“競技”に熱狂する人々によって埋め尽くされていた。
アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、南米、そして日本など世界中から詰め掛けた4万人の視線の先にいるのは、2チームに分かれた10人の選手たち。
彼らが向かっているのはPC。操作しているのはマウスとキーボード。
そう、彼らが熱狂する競技とは「ゲーム」。
この日行われていたのは「League of Legends」(以下LoL)という、世界で最も多くのプレーヤーを持つPCゲームの世界大会なのだ。
最寄駅を降りた瞬間から、そこはまさに野外フェス状態。スタジアムまでの道には所狭しとブースが建てられ、ファンアート、コスプレ、グッズ販売などでにぎわい、特設ステージでは、絶え間なくイベントが行なわれていた。
大会のオープニングセレモニーでは花火が上がり、太鼓が鳴り、BGMを奏でるのはオーケストラの生演奏。
巨大画面に映し出されたゲーム画面を4万人が食い入るように見つめ、そのプレーの1つ1つに大歓声とため息が起きた。
北米、ヨーロッパ、中国、韓国などの予選を戦い、トーナメントを勝ち抜いた2つのプロチームが、世界一の座と賞金100万ドル(1億円以上!)をかけて対決する模様は、YouTubeなどで生中継された。昨年の大会では、視聴者は世界で3200万人を記録したという。
世界で7000万人がプレー、同時接続数は750万人!
LoLは「RTS(Real Time Strategy)」と言われるゲームの一種で、1チーム5人の合計10人で争い、相手プレーヤーを倒し、障害物の先にある相手本拠地を早く破壊した方が勝利となる。
ゲームのイメージとしては、2D時代の『ゼルダの伝説』や、『聖剣伝説』などの操作感で、5対5のチーム戦を行う、と言えば近いだろうか。
2009年にリリースされたLoLは、今では世界で約7000万人がプレーし、同時接続数は最大で750万人に上るという“モンスターゲーム”に成長した。
テニスの世界競技人口が1億人、「月に1度でもYouTubeを見る日本人」が4000万人、シリーズ最大のヒットとなった『FINAL FANTASY VII』が世界販売本数1000万本ということを考えると、この数字がいかに大きいかがわかるだろう。