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山中慎介にもっとビッグマッチを!
7度目防衛の先に見えてきた統一戦。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2014/10/23 11:30
現在日本人の世界チャンピオンは6人。4つの団体×17の階級がある現在は、どうしても世界王者の価値が下がりがちだ。山中慎介はさらなるステップアップを求めて、ビッグマッチを実現することができるか。
WBO王者の亀田和毅が真っ先に思い浮かぶが……。
他団体チャンピオンとの統一戦となれば、真っ先に浮かぶのは11月1日に米国シカゴで3度目の防衛戦を控えるWBO王者の亀田和毅だ。亀田兄弟は現在ライセンスの更新を日本ボクシングコミッションに認められていないため、日本国内で対決はできない。それでも本田会長は「ライセンスの問題が解決されたらいつでもやる」と明言したから、風向きひとつで一気に話が進む可能性もあるだろう。
本田会長によれば、一番可能性が高いのは、今月25日に行われるIBF同級王座決定戦で、ランディ・カバジェロ(米)がスチュアート・ホール(英)に勝ったケースだ。カバジェロとは帝拳ジムのコネクションがあり、交渉がしやすいのだという。
かつて山中が対戦を希望していたひとりに、WBAバンタム級のスーパー王者であるアンセルモ・モレノ(パナマ)がいたが、9月に敗れて王座から陥落した。
山中と同じように防衛回数が多く(8度)、ビッグマッチを夢見るWBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(ワタナベ)は、かねてWBO王者ミゲール・ガルシア(米)との対戦を希望していたが、今月に入ってガルシアの王座返上という、内山を落胆させるニュースが飛び込んできた。
相手は誰でもいい、山中が輝く舞台を用意してほしい。
ビッグマッチは、双方がチャンピオン、またはそれに匹敵するビッグネームであるため、ファイトマネー、試合開催地などの条件面で互いの主張が激しくぶつかり、なかなか実現が難しい。そしてそれ以上に、モレノやガルシアの例を見ても分かる通り、この手の話はタイミングが大事だ。
かつて山中は「いろいろな選手の名前を口にしても、実現しないなら言う意味がない」と半ば悲しげに話していたことがある。この日は具体的な名前こそ出さなかったものの、ファンの前で統一戦を力強くアピールした。やる気はみなぎっているのだ。
和毅でもカバジェロでもいい。日本屈指の実力を誇るサウスポーが、さらに輝ける舞台に立つことを願うばかりである。