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ファンハールが見誤ったものは何か。
システム変更、選手補強、プレミア。 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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posted2014/10/02 10:40

ファンハールが見誤ったものは何か。システム変更、選手補強、プレミア。<Number Web> photograph by AFLO

昨季終盤に暫定監督を務めたライアン・ギグスコーチと、ファンハール監督。優勝を目標に掲げ、CL出場権獲得は至上命題だったユナイテッドは果たして浮上できるのだろうか。

「ファンハールはプレミアのレベルを見くびっている」

 グーリットが最近口にしたファンハール評は極めて的を射ている。

「一体全体あんなに経験豊かで結果も出してきた監督が、強力なセンターバックを獲得せずにユナイテッドでシーズンをスタートできるなんて、どうして思い込んでしまったんだろう? 中盤と攻撃陣だけを補強するというのは、プレミアのレベルの高さとパワフルさを見くびっているということだ。

 イングランドのトップリーグで生き残りたいなら、まず基礎を作ることからはじめて、最後に家の屋根を葺かなければならない。ファンハールはまったく逆のことをやってしまった」

 これに輪をかけたのが新システムの難解さだ。3-5-2(3-4-1-2)の採用は戦術論好きのサッカーファンを興奮させたが、ユナイテッドの選手は個人レベルでもチームレベルでも、新システムを消化しきれていない。

 攻撃陣はまだいい。2トップと1トップ下ならばファンペルシとファルカオにルーニーを組み合わせる形もとれるし、ファンペルシとルーニーを組ませて、トップ下にマタを置くこともできる。それとてプレミアとFAカップだけの少ない試合数で、ディマリアまで含めた攻撃陣を使い切れるのかという疑念を脇におけば、であるが。

 問題なのは3-4-1-2の中盤より後ろだ。3バックと4人のMFのポジションについて、ファンハールは様々な組み合わせをテストしてきたが、どれもしっくりこなかった。故障者が続出するという不運もあったが、攻撃におけるピックアップとビルドアップ、守備におけるカバーリングは、いずれもスムーズに機能しなかった。

3-5-2に見切りをつけ、4-4-2に移行。

 結果、ファンハールは大きな方向転換を余儀なくされる。3-5-2には8月限りで見切りをつけ、インターナショナルブレークを活用して、中盤をダイヤモンド型にした4-4-2に移行したのである。

 新システムのもとQPR戦では見事に4-0で快勝を収めたが、続くレスター戦、ユナイテッドは3-1とリードしながら同点に追いつかれ、最終的に5-3と突き放されてしまう。

 ラファエウが不用意なファウルでPKを与え、試合の流れを変えてしまったと批判されたが、それは敗因の一端に過ぎない。ユナイテッドは試合前から情報戦で敗れていた――新システムの欠点を既に見抜かれていたからである。

【次ページ】 2試合目にして露呈した新システムの「弱点」。

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