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<フットボーラーのパフォーマンスを支えるアミノ酸>
宮間あや 「“サッカー体力”を武器に再び頂点へ」
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2014/07/17 11:00
宮間が行なう、3つのルーティーンとは。
体調管理には、主に3つのルーティーンがあるという。1つ目は、よく食べてよく寝ること。2つ目は、「他の選手が引いちゃうくらい冷たいアイスバス」に入ること。これらに加えて宮間は、日常生活の中でアミノ酸を摂取することを挙げた。
「なでしこでは、練習後に必ずオレンジジュースとアミノ酸のサプリメントが配られるんです。アミノ酸については、確か'11年の世界大会以降から。それからずっと摂取しているので、今ではもう、もし飲み忘れたら『とんでもないことをしてしまった』と焦るくらい不可欠なものになりました。毎日、練習後と夜寝る前などに摂取しています」
今年5月、女子代表チームは来年6月に開幕する世界大会の出場権を懸けてアジアでの戦いに臨んだ。日本は準決勝で中国を、決勝でオーストラリアを破って史上初のアジア王者に輝き、宮間はキャプテンとしてチームを牽引した。若手選手が多く名を連ねたチームを束ねる苦労もあったが、何より、中1日の超過密スケジュールで行なわれたグループリーグは体力的にキツかったと振り返る。
「もう10年以上も代表でプレーさせてもらっていますけど、中1日は久しぶり。ただ、女子の場合は今後もそういうこともあり得るし、世界一を争う短期決戦では過密スケジュールが当たり前なので、コンディショニングや疲労回復について考えるようになりました」
「私、アミノ酸にものすごく頼ってる」
それから、こう続ける。
「このインタビューのお話をいただいて、ふと思ったんです。私、知らないうちにアミノ酸をかなり摂取しているし、いつの間にかものすごく頼ってるなって(笑)」
'11年の世界制覇と'12年ロンドン五輪の準優勝以来、なでしこを取り巻く環境、彼女たちを見る眼は劇的に変わった。ただし、当事者である宮間は、まだ遠い世界との距離を感じている。2つの世界大会では、確かに“目に見えない力”が働いた。
「それまで負けて当然という状況だったのに結果を残すことができて、それからずっと『負けちゃいけない』というプレッシャーに耐えている感じなんです。だから、真価が問われるのは次の大会だと思いますね」
なでしこの強みは、「人のために走る。人のために戦う」こと。それが世界の舞台で通用することを誰よりも理解しているからこそ、宮間は先頭に立って走り続ける。