REVERSE ANGLEBACK NUMBER
格上のイタリアに勝って10連勝中!
ラグビー日本に感じた「熱気」の予兆。
text by
阿部珠樹Tamaki Abe
photograph byYuka Shiga
posted2014/07/04 10:30
キャプテンとして、またフォワードリーダーとして、ジャパンを鼓舞し続けたリーチ・マイケル。スクラムの安定感は抜群だった。
リピーターの観客ばかりの楽しさと寂しさ。
というわけで、試合内容には満足したのだが、この日の観客は1万4000人足らず。好天の土曜日の午後だったのに物足りない数だった。ラグビーはひと言もふた言もあるリピーターの観客が多く、それぞれが「監督の視点」で見ている。プレーの選択を「違うだろ、それは」なんていうのはざらだ。エディ・ジョーンズHCもよくやっているがおれにやらせればもっと。本気でそんなことを思っている人もいるのではないか。
それはそれで楽しいのだが、「自称監督」ばかりで一見さんがいない。サッカーの代表の試合のあと、中身に関係なく「ありがとう」などといっているようなにわかファンがいないのだ。そうした人たちは熱心なファンに評判が悪いが、そんなところを巻き込まない限り熱気は生まれて来ない。試合の中身はいいが、ラグビーの現状は熱気を生むにはまだまだだ。
それでも兆しはあった。試合後、バックスタンドの前に整列した選手と前の席の観客との間に生まれた雰囲気には、アジアカップからJリーグ開幕を経てドーハに向かうころのサッカーにあったような軽さ、うきうきした感じが漂っていた。あの空気をうまく育てていければ面白いのだが。