ブラジルW杯通信BACK NUMBER
63%の支配率と、五分五分の決定機。
8強のドイツが晒した「大きな課題」。
posted2014/07/01 16:30
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Getty Images
120分の死闘を終え、スタジアムを包んだのはアルジェリアコールだった。
最終的には2-1で決着がついたものの、90分間は0-0だった。優勝候補相手の奮闘にドイツサポーターも素直に拍手を送った。マン・オブ・ザ・マッチは、アルジェリアのGKエムボリと発表された。ドイツが矢のように放った29本のうち22本の枠内シュートを防いだ殊勲は、確かに際立っていた。実は、過去アルジェリアはドイツに対し2戦2勝だったという。その実績に劣らない、堂々たる戦いぶりを見せた。
今大会の会場になっている12都市のうちで、最も南に位置するポルトアレグレ。ドイツ系、イタリア系の移民が多いというこの街は、ブラジルらしい陽気さよりもどことなく欧州の風情を感じさせる。
天候も他会場に比べるとぐっと寒く、この日試合前の公式発表では気温14度と群を抜いて低かった。17時キックオフで日差しの影響もほぼなく、気候的には好条件が揃う中、この街にとってW杯最後の試合は行なわれた。
満身創痍のドイツ、ラッキーボーイに期待がかかったが。
グループリーグを終え、ドイツは満身創痍の状態。
アメリカ戦で先発したMFポドルスキはもも裏に軽い肉離れを発症し、早々にこのアルジェリア戦でプレーできないことがレーブ監督の口から発表された。また、DFボアテンクは膝に違和感を訴え、アメリカ戦後に別メニューでトレーニングを行なっている。また5月に左膝を負傷したMFシュバインシュタイガーは本調子ではないのか、アメリカ戦で初先発するも76分で途中交代している。その上、DFフンメルスがここに来てインフルエンザを発症、キャンプ地のホテルに残ったことが発表された。
代役として起用されたのは、大会直前に負傷したMFロイスに代わって招集されたムスタフィだった。2つのチャンスをつかんだラッキーボーイの誕生、かと思われたがそう簡単には行かなかった。
レーブはそのムスタフィを右SBに起用し、ボアテンクをセンターバックに移動させた。中盤はMFケディラではなく、アメリカ戦に続いてシュバインシュタイガーを起用し、より攻撃的な意図を強めた。他は初戦メンバーをベースに、11人を配置した。