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総決算の宝塚記念、夏は牝馬を買え!
メイショウマンボが歴史的名牝に挑む。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/06/28 08:00
重馬場のエリザベス女王杯を上がりがメンバー最速タイの34秒1で制したメイショウマンボ。初対決となる先輩牝馬ジェンティルドンナにどう挑むのか。
「今度こそ」を誓う歴史的名牝。
冒頭に「春のグランプリ」だとか「梅雨のグランプリ」と書いておきながら矛盾したことを言うようだが、毎年現地で観戦している実感としては、「夏のグランプリ」と表現したくなってくる。「酷暑のグランプリ」と言いたくなる年もあるほどだが、「夏」と言えば、そう、牝馬である。
今回出走する牝馬は4頭。なかでも、戴冠に最も近いところにいるのは、牝馬三冠制覇、ジャパンカップ連覇など数々の偉業をやってのけたジェンティルドンナ(牝5歳、父ディープインパクト、栗東・石坂正厩舎)だろう。
昨年は、ドバイシーマクラシックで2着になったあとここに臨み、3着だった。今年は、そのドバイシーマクラシックを勝って出てくるのだから、昨年以上のパフォーマンスを期待したくなる。
気になるのは馬場状態だ。昨年は良発表だったが、レースを終えた騎手のほとんどが「道悪」に言及したように、力を要する馬場状態だった。稍重だった今年の京都記念で6着に敗れた走りを見ても、渋った馬場に切れ味を削がれたことが敗因だったように思われる。しかし今年は、先週までの競馬を見る限りでは、瞬発力のある馬の追い込みも結構決まっている。このまま馬場が極端に悪化しなければ、かなりの確率で上位争いに加わってくるだろう。
爆発力はジェンティル以上のメイショウマンボ。
牝馬特有の気難しさもある代わり、気持ちが乗ったときの爆発力ならジェンティル以上かもしれないのがメイショウマンボ(牝4歳、父スズカマンボ、栗東・飯田祐史厩舎)だ。
同世代の牡馬王者キズナとの対決が注目された大阪杯では、キズナから2秒以上離された7着に惨敗したが、あのときはフケ(発情)の影響があったと思われる。つづくヴィクトリアマイルではいくらか馬体を戻したものの、絶好調という状態ではなかったのに2着を確保。地力の高さを証明した。重馬場のエリザベス女王杯を完勝しているし、阪神で行なわれたフィリーズレビューを勝つなどコース実績もある。
「同じ阪神が舞台でも、大阪杯のときとは状態が違う」と飯田調教師。「一発」やってのける可能性は十分あるのではないか。