ブラジルW杯通信BACK NUMBER
イタリア、ウルグアイにやぶれGL敗退。
真っ向勝負を壊したレッドと“凶行”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/06/25 16:30
試合中にもかかわらず、ベンチでふてくされるバロテッリ。プランデッリはアズーリを担う存在として期待をかけ続けてきたが、今回もまたその期待は裏切られた。
削りあいの中でも保たれていた互いのリスペクト。
身体も神経も削られる激しいゲームが、それでも荒れなかったのは互いにギリギリの節度があったからだ。
12分に、MFピルロのFKをウルグアイのGKムスレラが好セーブした。自陣へ戻るアズーリの何人かが、元ラツィオの守護神だったムスレラへ軽くタッチした。
38分に、ウルグアイDFカセレスが、中盤から60m超のサプライズショットを放った。
「何やってんだ、驚かせんな!」
外れたシュートを見届けたGKブッフォンは、クラブのチームメイトに向かって、晴れやかな大声で呼びかけた。
接触プレーがどんなに激しくても、相手を心理戦で追い詰めようとしても、互いを熟知する選手たちの間には“これはスポーツである”という一線があり、それが試合を引き締めていた。
技術的に劣るゲームであったはずもない。
アズーリの中盤を担ったMFピルロとMFベッラッティは、激しい攻守の競り合いの中でも、鮮やかなパスワークを見せた。
33分、ウルグアイはFWスアレスの突破とMFロデイロのシュートによってイタリアゴールに迫ったが、GKブッフォンがビッグセーブを連発した。
両監督が攻撃の手を打って迎えた後半。
ハイレベルのテクニックを持つ者たちが、あえてぶつかり合うことを選択し、死力を尽くそうとしたところに、ひとつのサッカーの醍醐味があるはずだった。
前半は暑さと湿気に覆われた“死の組”にふさわしい激闘、だった。
後半の笛を前に、イタリアとウルグアイは同時に動いた。
プランデッリは、シュートをほとんど打てず、22分のファウルで軽率な警告をもらっていたFWバロテッリを諦めた。FWインモービレを1トップにしたのはいいが、「彼へ放り込め!」と指示する以外に効果的な作戦を指示することはなかった。
一方、タバレスはDFのM・ペレイラを入れ、サイドから揺さぶりをかけようとした。58分には左サイドを破ったMFロドリゲスが惜しい左足シュートを放つ。
一瞬でも気を抜いた方が負ける。緊張状態は続いていた。