ブラジルW杯通信BACK NUMBER
イタリア、ウルグアイにやぶれGL敗退。
真っ向勝負を壊したレッドと“凶行”。
posted2014/06/25 16:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
疑惑のジャッジがあった。
目を疑う蛮行があった。
イタリアを蹴落とし、“死の組”を抜け出したウルグアイを、果たして「勝者」と呼んでいいものか。
しかし、試合後の指揮官タバレスの言葉は苛烈だった。
「これはワールドカップだ。はした金のモラルを問う場ではないのだよ」
グループD突破をかけた決戦を、イタリア代表監督プランデッリは「人生をかけた勝負」に喩えていた。2位以上を確定させるには、最終戦に引き分けるだけで十分だったが、ウルグアイが強敵であることには変わりなかった。
ミランやカリアリの指揮経験を持つ敵将タバレスのチームには、過去・現在を問わず、セリエAでのプレー経験を持つ者が12人もいた。
ユベントスのDFカセレスや1年前のセリエA得点王カバーニにとって、イタリアは出稼ぎ先として大金をもたらしてくれた国だ。彼らがアズーリを恐れる理由は何ひとつなかった。
追い詰められてようやく真価を発揮するイタリアにとっても、心理的にタフな一発勝負は望むところだった。決戦に向けて、今季の得点王インモービレとFWバロテッリが初めて先発2トップを組み、守備ブロックはユベントス勢による3バックに託された。布陣は両サイドにDFデシーリオとDFダルミアンを配した3-5-2へ。アズーリも背水の陣を敷いた。
古典サッカーのように、一対一でにらみ合った両雄。
互いを知り尽くすイタリアとウルグアイが、真っ向勝負を選択したら、どうなるか。
エスタディオ・ダス・ドゥナスは、キックオフ直後から、格闘場と化した。
まるで半世紀以上前の古典サッカーのように、グラウンド上のフィールドプレーヤー全員が、目の前の相手と一対一でにらみ合った。
選手たちはインテンシティ全開で、マークする相手に襲いかかった。双方の2トップはゴールを狙う前に、敵センターバックとのつかみ合いを制する必要があった。ポジションを問わず、ガツン! と体をぶつけ合う音が、1プレー毎に聞こえてきそうだった。