ブラジルW杯通信BACK NUMBER
スペインを破ったオランダ、3つの策。
リスク覚悟の「数的同数」という戦術。
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byGetty Images
posted2014/06/18 16:30
オランダが誇る超強力2トップ、ファンペルシ&ロッベン。4年前、スペインに敗れた決勝のピッチにたっていた2人が、2ゴールずつを決め、歴史的大勝を収めた。
勝負を決めた、大会屈指の攻撃トライアングル。
EURO2012のイタリアも、この日のオランダと同じ数的同数の3バックを使ってスペインを苦しめている。ただし、オランダほど大胆にラインを押し上げるリスクは冒していない。極めてよく似た「スペイン攻略法」にも両国の差異が表れていて興味深い。
イタリアがドローに終わり、オランダがゴールラッシュを演じたのは、ひとえにアタック陣のタレント力の違いだろう。ファンペルシとロッベンの2トップをスナイデルが操るトライアングルは今大会屈指の破壊力をもっている。彼らワールドクラスの存在なくして、歴史的な圧勝劇は起こり得なかったはずだ。
秘蔵っ子のストロートマンやファンデルファールトをケガで失い、チームの再編を迫られたファンハールにとって、3バックの新システムは苦肉の策だったかもしれない。
それでも手持ちの駒の特徴を見極め、その力を最大限に引き出した采配は見事なもの。本来の4バックへスイッチする可能性も含め、2戦目以降の興味はふくらむばかりだ。心(メンタル)と体(フィジカル)のコンディションも充実しているだけに、対戦相手は戦々恐々だろう。