nakata.net cafe サンパウロ奮戦記BACK NUMBER
サンパウロで中田英寿がカフェ開店!
“nakata.net Cafe 2014”が大人気。
posted2014/06/14 15:30
text by
川上康介Kosuke Kawakami
photograph by
Kosuke Kawakami
ワールドカップ開幕と同時にサンパウロの中心地にオープンした「nakata.net Café 2014@サンパウロ」。元日本代表の中田英寿がプロデュースする期間限定のこのカフェは、彼の「日本文化を世界に発信したい」という思いからプロジェクトがスタート。料理、酒、器などすべて本格的な“日本”を楽しむことができるカフェとして営業を行なう。
しかし地球の裏側の地で、和食や日本酒を提供するには、想像以上の困難があるようだ。今回、「nakata.net Café」に参集した「中田ジャパン」のメンバーを取材。悲喜こもごものブラジルでの日々について聞いた。
「苦労するだろうなということは、予想していましたが、正直言ってその予想以上でした。食材、調味料、スタッフのオペレーションなど、日本とはまったく勝手が違う。時差ボケに関係なく、毎日心配でなかなか寝付けませんでした」
そう語るのは、今回「nakata.net Café」の和食をプロデュースした西麻布「ラ・ボンバンス」の岡元信シェフ。有名料亭で修行をしたにもかかわらず、フレンチなどとフュージョンした斬新な和食を楽しめる店として、ミシュランでも7年連続で星を獲得した名店を取り仕切る岡元シェフ。彼が今回のプロジェクトに参加したきっかけは、常連客である中田英寿本人からの依頼だった。
「中田さんらしい面白い発想だなと思いました。どういうふうになるかは分からないけど、とにかくやってみようと。僕の中では、日本らしい四季を感じられるような料理を提供したいと考えました」(岡元シェフ)
岡元シェフがカフェのメニューとして考えたのは、「牛肉と牛蒡の照り焼き」、「蒸し豚 ゴマ酢味噌かけ」、「鰤の西京焼き」、「牛肉の胡麻ダレ丼・茶漬け」、「すき焼き丼」など、全12種類。カフェで提供される日本酒との相性も考えた料理は、思いのほかストレートで、いわば“家庭料理”的なラインナップだ。
「ブラジルで日本料理と言えば、寿司か刺し身。それでは、日本料理の幅が広がらないと思って、あえて普通の料理を出して、いろいろな日本料理を知ってほしいと思ったんです」(岡元シェフ)
ブラジル側で岡元シェフのパートナーとなったのは、サンパウロの人気日本料理店「阿吽」のオーナーシェフ小池信さんだ。小池さんは、日本の飲食業界で働いた後、20年前にブラジルに渡り、自らの店を開店。現在は、日伯文化福祉協会の和食普及委員会委員長を務めるサンパウロの和食業界の重鎮。
「私はブラジルに日本食の魅力をきちんと伝えるのが自分の役割だと思っています。現在ブラジルは日本食ブームで、サンパウロには約700軒の日本料理店があります。でもそのなかで本物の和食と言えるのは、10軒程度。今回は、中田さんがこだわる本格的な日本料理と日本酒を提供するということで、ぜひ協力したいと思いました。しかも岡元さんのような素晴らしい料理人と組むことで、うちの店の若い料理人たちにも大いに刺激になる。本物の日本料理をブラジルで広げようと思ったら、ブラジル人の料理人が日本食をきちんと理解する必要がある。私だけでは伝えきれないものをこの試みを通して、知ってほしいと思ったんです」(小池さん)