濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“修斗のカリスマ”佐藤ルミナ引退。
宇野薫が最後に送った14年前の言葉。
posted2014/05/11 10:40
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
また一人、ビッグネームがリングを去った。
5月5日の修斗・後楽園ホール大会で行なわれたのは、佐藤ルミナの引退セレモニー。“修斗のカリスマ”は40歳になっていた。最後の試合(2012年12月の所英男戦)から約1年半、負傷が原因で満足な動きができないことから、引退を決意したのだという。
彼がデビューしたのは1994年。前年にK-1とUFC、パンクラスが旗揚げしている。UWF系の団体がプロレスから格闘技への橋渡しをしてきた、その最終段階の時代。当時の日本では、“強さ”の象徴はプロレスラーというイメージも根強かった。
そういう中で、ルミナは修斗という真剣勝負の総合格闘技を浸透させるために「狂気じみたエネルギー」を注いできたという。
誰が見ても面白かったルミナの試合。
確かに、ルミナの試合は誰が見ても面白かった。常に一本を狙うアグレッシブなファイトスタイルが身上。リスクを厭わず攻撃したために落とした試合もあったが、そういう選手だからこそ、ファンはルミナの試合に熱狂したのだ。
'97年、日本人として初めてブラジルの黒帯柔術家ヒカルド“リッキー”ボテーリョにヒールホールドで勝利。'99年のチャールズ・テイラー戦では、開始6秒で飛びつき腕十字を極めた。
リング外での活躍も目立った。趣味はサーフィン。ファッション誌にも登場し、芸能人との交友も。無骨で汗くさい“体育会系”な格闘技のイメージを変えた先駆者がルミナだった。