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5大タイトルマッチに分かれた明暗。
DEEPという戦場はなぜ過酷なのか。 

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2014/05/04 10:30

5大タイトルマッチに分かれた明暗。DEEPという戦場はなぜ過酷なのか。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

ライト級王座を防衛し、リング上でプロポーズを果たした北岡悟。フェザー級は横田一則が津田勝憲を、ライトヘビー級王座は中西良行が井上俊介をそれぞれ下し防衛、ウェルター級は悠太が奥野“轟天”泰舗を下し新王者に輝いた。

敗れた大沢ケンジがブログに綴ったこと。

 試合を終えると、大沢は自身のブログにこう綴った。

「国内でチャンピオンになることを目標にもう一度頑張ろうと決意して練習に励んだのですが、やはり自分の心には世界一を目指してやっていたときのような厳しさがなくなり、練習などでも妥協することが増えてきていました」

「指導者としての一面も持つ自分が妥協しながらやっているところをHEARTSの選手達が見るのは、ホントに良くないことでこのままだとうちの選手達に悪い見本を見せ続けることになるということもあります」

 トップ選手がDEEPで勝つか負けるか。そこにはこういう厳しさがあるのだ。

 メインイベントでライト級の王座防衛を果たした北岡悟も、似たような心境で試合に臨んだに違いない。

「プレッシャーというレベルを超えていた」北岡。

 昨年大晦日、IGFのリングで初来日のロシア人ラマザン・エセンバエフにKO負け。再起戦となる今回は挑戦者決定トーナメントを勝ち上がってきた宮崎直人を迎え撃つ。大舞台で負けた後の試合で下からの突き上げに屈してしまったら、もはや居場所はないと感じたのだろう。試合前の重圧は「プレッシャー(というレベル)を超えてましたね」と北岡は言う。

 そんな「終わりになりかねない試合」に勝ったのだから、喜びが爆発するのも当然だった。涙を流しながらベルトを腰に巻き、「後楽園でやっておきたいことがあるんですよ」と客席にいる恋人にプロポーズ。リングに呼び寄せると記念写真に収まった。

【次ページ】 北岡はなぜ勝つことができたのか。

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