スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
新監督とサプライズ。
~MLB負け越し球団、逆襲の条件~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2014/03/01 08:15
今季からマリナーズの指揮官に就任したマクレンドン監督。ヤンキースからカノーも加え、長年の低迷脱出を目指す。
昨日の勝者は今日の敗者、今日の敗者は明日の勝者。
こんな標語を書いたカレンダーを壁にかけている人は少なくないかもしれないが、ことはそう簡単には運ばない。大リーグの場合はとくにそうだ。むしろ、昨季の敗者は今季の敗者、今季の敗者は来季も敗者、というべきだろう。負け越しチームの逆襲に眼を見張らされるのはそのためだ。
最も顕著な例が2013年のレッドソックスだろう。'12年のレッドソックスは、69勝93敗の不振でア・リーグ東地区最下位に沈んだ。が、'13年のレッドソックスは97勝65敗の成績で地区優勝を飾り、余勢を駆ってワールドシリーズまで制してしまった。世界中の野球ファンがどよめいたのも無理からぬことだ。
'12年に負け越したのは13球団だった。そのうち4チーム(レッドソックス、インディアンス、ロイヤルズ、パイレーツ)が翌年に勝ち越し、ロイヤルズを除く3チームがプレーオフに進んだ。パイレーツなどは1992年以来、21年ぶりの勝ち越しだった。「今季の敗者は来季も敗者」を地で行く低迷がつづいていたのだ。これでは、判官びいきの人がそこいらじゅうに出現しようというものだ。
2013年シーズンの負け越しチームを見ていくと……?
では2014年シーズンにも、このサプライズは見られるのだろうか。
結論を急ぐ前に'13年シーズンの負け越しチームを拾い出してみよう。
ア・リーグから見ていくと、
ブルージェイズ(74勝88敗)
ツインズ(66勝96敗)
ホワイトソックス(63勝99敗)
エンジェルス(78勝84敗)
マリナーズ(71勝91敗)
アストロズ(51勝111敗)
の6球団だ。
一方のナ・リーグは、
メッツ(74勝88敗)
フィリーズ(73勝89敗)
マーリンズ(62勝100敗)
ブルワーズ(74勝88敗)
カブス(66勝96敗)
パドレス(76勝86敗)
ジャイアンツ(76勝86敗)
ロッキーズ(74勝88敗)
の8球団が該当する。