欧州サムライ戦記BACK NUMBER
27戦で17零封と絶好調の川島永嗣。
成熟を促した、類稀なる完璧主義。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byImage Globe/AFLO
posted2014/02/28 16:30
リエージュのまさに「守護神」として最後方に君臨する川島永嗣。ピッチ外での理知的な姿と、ピッチでの鬼気迫る表情の組み合わせは成熟のなせる業か。
我々日本人記者にとって、スタンダール・リエージュのホーム戦の試合取材は少々独特だ。
なぜなら、取材対象である川島永嗣がミックスゾーンに姿を現すまでに少々時間を要するからだ。
川島の登場を待つ間は、テレビ中継でリプレイを確認し、原稿の準備をし、東京と連絡を取り合い、記者や関係者と情報交換、などをしながらやり過ごす。アウェイの選手がほぼバスに乗り込み、ミックスゾーンが閑散とし、警備員がなんとなく時間を持て余しだしたころ、川島は姿を現す。地元メディアに流暢なフランス語で受け答えを行なって、ようやく我々の順番が訪れる。
悠々とマイペースで我々の前に立つと、川島はにこやかに、そしてじっくり取材に応じる。
リーグ2位を12点差で突き放す、鉄壁の守備。
この日は2014年の第6戦ゲント戦だった。それまでの5戦連続無失点での連勝が、味方のオウンゴールによって途切れた試合だった。今季は開幕直後にも6戦連続無失点を成し遂げており、「あと2試合(で開幕時を超えられる)という気持ちでいたのに、オウンゴールで途切れるなんて」と苦笑した。
今季の川島は開幕9連勝、さらに年末からは6連勝というチームの好調に大きく貢献したことで、評価を一気に上げ地位を不動のものとした。先発から外されることもあったこれまでとは立場も違えば結果も全く違う。
この日のゲント戦では3失点を喫したが、それでもここまでリーグ27戦でリエージュの総失点はわずかに15。失点数2位がブルージュの27であることを考えると、いかに圧倒的か良く分かる。リエージュというチームの守備力と、その中でゴールを守る川島の存在がどれだけリーグの中で抜きん出ているかは、数字が証明しているのだ。
では、川島が結果を出し続けている要因は何か。