浦野の爆発力、森の鉄腕ぶりにも注目。

　穴に推した浦野は178cm、70kgと体格的には物足りないが、絶好調のときのピッチングは石川、吉田を上回る。'13年都市対抗の東京2次予選・準決勝はJR東日本を3安打完封に抑え、第2代表決定戦では再びJR東日本と対戦、吉田が6回途中で降板するのを横目に1失点完投勝利で難敵を退けた。

　それほどの投球をしながら晴れ舞台の都市対抗では1回戦で新日鉄住金かずさマジックに6回2/3を投げて8安打、2失点で負け投手、日本選手権ではやはり1回戦で日本生命に4回投げて5安打、3失点で負け投手になっている。この安定感のなさが石川、吉田より下に評価した理由である。

　ドラフト前までまったく無名だった森は昨年の都市対抗1回戦、TDK戦で補強された伯和ビクトリーズの3番手としてマウンドに上がり、2回を無安打に抑えている。私はこのときの投球を「腕をビュンビュン振って力強いストレートを投げ込んでくる。さらに112、3kmのカーブ、124、5kmのスライダーを投げるときもビュンビュン腕を振ってくる」とWebサイトの記事に書いた。この腕の振りは今季の新人の中でも豊田拓矢（TDK→西武3位）と並んで双璧と言っていい。

　リリーフ向きだと思うが、日本選手権の中国予選では9月12日の三菱重工三原戦を完封、13日のJFE西日本戦を3失点完投（1対3で敗戦）と鉄腕ぶりを発揮しているので先発もできそう。どんな起用法になるのか今から楽しみだ。

セの本命、大瀬良は球速だけでなく高い意識も。

　セ・リーグでは大瀬良の評価が圧倒的に高い。「最速153km」という評価が先行していた時期があるので速いだけの投手と思われるかもしれないが、与四死球率は2.39と抜群である。取材でカットボールのことを聞いたときの言葉を紹介しよう。

「カウントを取りにいくときは真ん中付近で、できるだけ真っ直ぐに近いような軌道で、ちょっとクッと曲げる。ゴロで打ち取るというか、球数も少なくなるのでいいかなと」

　フォームについては1学年上の川満寛弥（ロッテ）を例に出してこんなことを言っていた。

「バッターに正対しないで、ぎりぎりになって腕が出てくるイメージがあるんです。それを自分も追求したい」

　意識の高さがわかる言葉である。ストレートの最速は153km、変化球はスライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップを備え、最大の武器は縦の軌道で「クッと曲がる」と本人が表現するカットボール。大竹寛が巨人に移籍しているチーム事情が強烈な追い風になりそうだ。

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