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浅村栄斗、打点王の先に見据える物。
叱責が「レオの天才肌」を強くした。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/02/04 10:45
昨年はチームで2位となる14盗塁を成功させた浅村栄斗。伊原新監督の下で、昨年以上の成績を残すことができるか。
それは、5年目での大爆発だった。
3年目の2011年からレギュラーとして試合には出ていた。しかし'12年までの2年間は打率2割5分そこそこ。本塁打も2ケタに到達しないような凡庸な成績だった男が、'13年になると3割1分7厘、27本塁打。打点に至っては110を叩きだしてタイトルを掴むほどの、著しい結果を残したのだ。
2013年、西武の浅村栄斗は豊潤な1年を過ごした。
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だからこそ、手綱をしっかりと引き締める。春季キャンプに突入した今、彼は自分に言い聞かせるようにその意図を語る。
「『今年も活躍できるかな?』って不安はありますよ。シーズンが開幕するまでは誰だって不安だと思います。しかもライオンズは、今年のドラフト1位の森(友哉)とか毎年、すごい選手がいっぱい入ってくるんで、必死にやらないとすぐに抜かれる。プロの世界ってそれくらい厳しい場所なんで。だから、キャンプでもやるべきことをしっかりやって、開幕に備えるようにはしていきます」
最低限の結果を残した3年目に生まれた慢心。
人は浅村を、「野球センスの塊」「天才肌」と表現する。本人も「別に嫌ではないですよ」とその評価を許容するが、実際の浅村栄斗は、キャンプへの強い意気込みからも理解できるように、才能だけで野球をしているような単純な男ではない。
むしろ、泥臭い。屈辱や蹉跌を経験しているからこそ、より高みを目指し、危機感を抱きながら野球に打ち込もう、と自分の尻を叩くのだ。
そんな浅村も、時間を少し遡ればセンスに頼っていた時期もあった。
大阪桐蔭3年夏の甲子園では29打数16安打の打率5割5分2厘、2本塁打、4打点をマークし全国制覇に大きく貢献した。プロでも3年目の'11年にはレギュラーを勝ち取り、2割6分8厘、9本塁打、45打点と最低限の役割を果たせた、と自認していた。
生まれた感情。それが、慢心だった。
「あんまり練習せんでもやれるやろ」