プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンUの2列目に史上最高額で参戦!
マタは“衝動買い”ではなく“福袋”?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2014/01/28 10:45
マンチェスターでメディカルチェックを受ける際に早速、地元ファンに囲まれる。不振のチームを変える存在として期待も高まる。
4位リバプールまで6ポイント、CLはまだ手が届く。
基本の4-2-3-1システムは据え置きとすれば、1トップのファンペルシの背後にルーニー、その左右にマタとヤヌセイを配する前線からは、これまで以上のチャンス創出とゴールへの積極性が期待できる。30歳になって故障癖が再発した感のあるファンペルシが不在の場合には、格が落ちるダニー・ウェルベックではなく、センターFWとしてのルーニーをマタがトップ下でサポートする形で、敵への脅威を維持することも可能になる。
マタの加入で前線が活性化されれば、強豪との連戦もないリーグ戦残り16試合では、35ポイント程度の獲得が計算でき、ポイント総数を70台に乗せることができる。第22節を終えて7位とはいえ、4位リバプールとの差も6ポイントに留まっており、心配されるトップ4漏れを回避する可能性は十分ということになる。
最終的には、ファンペルシとルーニーの2トップをマタがサポートすべく、4-3-1-2システムへの変更が実現すれば面白い。現状では、攻守にハイレベルな3センターを構成する人員が、マイケル・キャリックしかいないが、遅くとも今夏の移籍市場では中盤の補強を行なうはずで、実力者を勧誘する説得材料となり得るマタの存在は重要だ。
マタはまだ26歳。再建の主軸としても期待がかかる。
もっとも、今季のプレミアでトップ4を逃せば、来季のマンUにはファンペルシもルーニーもいない可能性がある。ファンペルシはモイーズとの関係が良好とは思われず、昨夏に移籍を仄めかしたルーニーは契約延長交渉を拒み続けている。
しかし逆に言えば、モイーズが大金を叩いて呼び寄せたマタは、大掛かりなチーム再建の主軸として更に重要性が増すことになる。チェルシーでの年俸から倍増とも言われる高待遇からも、マタが単なる後半戦の短期的な解決策ではないことが理解できる。
そもそも今春でまだ26歳のマタは、2シーズン前にアンドレ・ビラスボアス体制が短命に終わっていなければ、そのままチェルシーで将来を背負い続けていたはずの逸材なのだ。
それだけの実力者だけに、チームの精神面にもプラス効果をもたらすことは受け合いだ。既に加入前から効果があったとも言える。マタ獲得の動きが報じられていなければ、リーグカップ敗退が決まった直後のオールド・トラッフォード界隈は、更に暗いムードに包まれていただろう。