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挑まれる立場で迎えたソチ最終選考。
GP王者・羽生結弦、無限の可能性。 

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byAsami Enomoto

posted2013/12/17 10:30

挑まれる立場で迎えたソチ最終選考。GP王者・羽生結弦、無限の可能性。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

GPファイナルで、チャンを下したSP「パリの散歩道」。前人未到の100点越えはならなかったが、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

「パリの散歩道」で歴代最高スコアを記録。

 オーサーコーチは、羽生のもっとも大きな課題は、滑りのコントロールだと語る。

「ユヅルの滑りは、手加減をするということを知らない。それはすごくまれなクオリティで失ってはいけないもの。でも同時に、勢い任せになってしまわないよう、滑りをコントロールすることを学ばなくてはならない」

 オーサーとのトレーニングを経た2012年の秋、羽生はジェフリー・バトル振付によるSP「パリの散歩道」で、出場したスケートアメリカ、そしてNHK杯でそれぞれ歴代最高SPスコアを更新。全日本では初タイトルを手にし、翌年のロンドン世界選手権では病み上がりと負傷が重なった絶不調の体を抱えてフリーで4位まで順位を上げた。

 今シーズンキープした「パリの散歩道」では、GPファイナルでなんと99.84という高得点が出た。パトリック・チャンがフランス杯で出した新記録をさらに超える、歴代最高スコアである。そしてフリーでは4サルコウで転倒するも、ほぼノーミスだったパトリック・チャンを上回る点を出しての初タイトルだった。

「一生懸命スケートを楽しむのがテーマ」

「お客さんは一生懸命応援してくれるから、ぼくも一生懸命応える。(誰に勝つというよりも)一生懸命スケートを楽しもうというのが、ぼくのテーマでした。ソチ五輪に向けては、本当に大きな一歩だと思っていますし、条件も満たしていると自分の中では思っている。最終選考会の全日本選手権でも、もっともっといい演技ができるようにしないとな、と自分の中で思いました」

 まだまだ満足することを知らない19歳になったばかりの羽生は、どこまで成長していくのか。計り知れない可能性を秘めた選手である。

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