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満身創痍で賞金王に輝いた松山英樹。
記録づくめの戴冠は“史上最強”か。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/12/02 16:30

満身創痍で賞金王に輝いた松山英樹。記録づくめの戴冠は“史上最強”か。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

史上初、ルーキーイヤーでの賞金王となった松山英樹。怪我に苦しみながらも、池田勇太との競り合いを制して今季4勝目を挙げた。

日米を往復する人気者に、頼ってばかりはいられない。

 スターの海外流出、そして彼らが新天地での戦いに専念することで、関心の二分化は今後、一層進んでいくことだろう。予選会システム、シーズンスケジュールの変更により、米ツアーへの挑戦はより困難になる。「夢はアメリカ」と口に出す選手には、より一層の強い覚悟が必要になってきた。

 そして日本ツアーは、太平洋の往来を繰り返す実力者に、もう頼ってばかりはいられない。そんな危機感は、破裂寸前まで膨らんでいる。

 とはいえ今シーズン、松山の輝きだけに目を奪われて「日本ツアーはお先真っ暗」なんて結論付けるのも、ちょっと気が引ける。他のタレント選手も、ツアーに少なからず興奮を提供してくれたからだ。

 片山晋呉は、永久シード権を手にした2008年当時よりも攻撃的なスタイルに変貌を遂げ、5年ぶりの勝利を飾った。谷原秀人はスイングに悩むあまり一時は現役引退すら考えたが、その間に平均パット部門でツアー1位となり、ショートゲームの名手に生まれ変わって3年続いた未勝利の時間にピリオドを打った。

 前半戦、コース内外で苦しんだ池田勇太が来季、現役の選手会長として初めて賞金王となる可能性を誰が否定できるだろう。松山、石川より2学年上、1989年生まれの薗田峻輔、藤本佳則、小平智もそろって勝利を飾った。このトリオには新しくツアーを引っ張る存在として、そして次の海外への挑戦者としても期待したくなる。

 米国と日本。時間はいよいよパラレルで流れていく。それを受け入れ、前を向かない限りは、それこそお先真っ暗。太平洋をまたぐハンデは、いつまでたっても埋まらない。

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