オリンピックへの道BACK NUMBER
世界選手権に黄信号の浅田真央。
笑顔を奪ったバンクーバーの余波。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2010/12/23 08:00
世界選手権を2度制覇、GPファイナル優勝2回、全日本選手権4連覇中、バンクーバー五輪銀メダル……凄まじい成績を誇る浅田真央にかかるプレッシャーは想像を絶するものであるはずだ
五輪の激戦を振り返れば、ひと息つきたくなるのも当然。
最近ではあまり聞かれなくなったが、「燃え尽き症候群」は今もある。4年かけて目指してきた大舞台を終えて、ひと息入れたくなるのは当然と言えば当然である。だから競技活動から離れないまでも、回復しきらない心身に苦しむ選手だって珍しくない。
「正直、オリンピックの翌年は、頑張りますと言いながらも、ゆっくりした気分で過ごしていました。じゃないと続かないですね」
冬季競技のあるメダリストがこう語っているのを聞いたことがある。
しかし、フィギュアスケートは毎年、世界選手権が開かれる(毎年開かれる競技は決して多くない)ことに加えて、競技への関心も高い。まして今シーズンは日本での世界選手権開催だ。周囲は好成績を期待するし、これだけ関心が高ければ、ビジネス的な面も大きくかかわってくる。
浅田は、バンクーバー五輪を目指して4年間を過ごしてきた。キム・ヨナという強いライバルの存在もあって、費やしたエネルギーは莫大なものであったのは容易にうかがえる。事情が許せば、もう少しゆったり過ごしたい、どっしりかまえた1年にしたいと思っても不思議ではない。
こんな1年があってもいい。それくらいのつもりで見守ることも、大切かもしれない。