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驚異のラップタイム。
~伸び続ける男子マラソンの記録~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byJMPA

posted2013/11/05 06:01

驚異のラップタイム。~伸び続ける男子マラソンの記録~<Number Web> photograph by JMPA

ロンドン五輪では2時間9分37秒で3位だったが、1年後の今年9月、その記録を6分以上短縮する世界記録を樹立したキプサング。

3分近くまで開いてしまった日本記録と世界記録の差。

 一方、日本の男子マラソンを記録の面から見ていくと、日本記録は'02年に高岡寿成がシカゴ・マラソンで出した2時間6分16秒が、今なお残っている。'02年当時、世界記録は2時間5分38秒で、日本記録と世界記録の差は38秒しかなかった。しかし'13年現在では、その差は2分53秒まで開いている。

 タイム差が開いても、最近の日本に、高岡の日本記録に近いタイムを出した選手が何人かいるのであれば、まだ今後の展望も開ける。だが実際には、日本記録に迫った選手は誰もいないのである。高岡の日本記録のあとに出た最もよいタイムは、'07年の福岡国際マラソンで佐藤敦之が出した2時間7分13秒だ。その次が'12年の東京マラソンで藤原新が出した2時間7分48秒。'13年の世界選手権に出場した5選手の過去1年間におけるベストタイムを見てみると、次のようになっている。

前田和浩   2時間8分00秒
川内優輝   2時間8分14秒
堀端宏行   2時間8分24秒
中本健太郎 2時間8分35秒
藤原正和   2時間8分51秒

 いずれも2時間8分台で、2時間7分台を出したことのある選手はいなかった。つまり'13年の日本ランキング1位は前田和浩の2時間8分00秒だから、キプサングの世界記録と比べると4分37秒も開いているのである。

日本勢が世界で上位を狙うなら夏のマラソンしかない?

 もちろん日本の選手たちは、世界選手権の代表を狙って国内の選考レースに出場する必要があるため、9月のベルリン・マラソンに出ることはできない。ベルリンのコースなら、彼らも、もっといいタイムは出せるだろう。

 しかし世界のトップとの距離が、高岡の時代より開いていることは間違いないと思う。日本選手が世界で上位を狙うには、今夏の世界選手権で中本が5位に入った時のように、記録を狙えない、夏のマラソンになるのだろう。それでも世界選手権のメダリストも自己ベストは2時間4分台が2人と7分台が1人だった。メダルを狙うとなると、やはり2時間7分台は出しておきたい。世界との差はあっても、地道にタイムへの挑戦は続け、世界大会での活躍を目指したい。

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