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ハイレベル、ハイリターンの米ツアー。
松山と石川の賞金額は上がるのか。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byYasuhiro JJ Tanabe/AFLO
posted2013/10/30 10:30
8月の全米選手権で、ともに練習ラウンドを回る松山英樹と石川遼。まだ20代前半の2人が、これから日本ゴルフ界の歴史を塗り替えていくのを期待したい。
プロ転向1年目の今年、日本ツアーですでに賞金王の可能性が高い松山英樹は、10月10日から米ツアーの新シーズンに参戦している。米ツアーの2013年シーズンは1月から9月で終了、10月からは2013年-2014年という新シーズンがスタート。松山は日本ツアーを9月いっぱいで切り上げ、米ツアーにフル参戦することにしたのである。
日本ツアーは出場わずか10試合で3勝、2位2回を含め8試合でトップ10入り。2013年の獲得賞金は1億5333万円(海外メジャーを含む、1000円以下四捨五入)で、2位の小田孔明が7914万円。日本ツアーは今季残りあと6試合だから、小田が逆転するにはあと2勝はする必要がある。不可能ではないが、かなりハードルが高いことは確かだ。
松山は米ツアーの新シーズンでも、開幕戦のフライズ・ドットコム・オープンで3位タイ、10月24日から27日のCIMBクラシックでは、途中で腰を痛めながらも25位タイとなって、開幕から2試合で獲得賞金は29万3433ドル。1ドル100円で換算すれば約2934万円となっている。
また、2013年シーズンは米ツアーで苦悩していた石川遼も、新シーズンは開幕から2試合で21位タイと2位タイ、獲得賞金はすでに58万ドル(約5800万円)となっている。
野球では、渡米はより大きな額を手にする道になった。
2人とも好調な新シーズンのスタートを切ったことで、このシーズンが画期的なものになる可能性が出てきた。それは、日本ツアー出身の男子ゴルファーとして、丸山茂樹以来となる「日本でプレーするより、米国でプレーするほうが稼げる選手」になる可能性がある、ということだ。
プロ野球の世界では、イチロー、松井秀喜、松坂大輔、黒田博樹、ダルビッシュ有といった日本のトップ選手たちは、いずれも、日本のプロ野球でプレーするより、米大リーグでプレーするようになってからのほうが、ずっと高い年俸を得ている。イチローは最高で年俸1800万ドル、黒田博樹の今季年俸は1500万ドル、1ドル100円ならそれぞれ18億円と15億円だ。これは今年の広島の日本人選手総年俸(16億7390万円)とほぼ同じくらいの金額だから、日本でプレーしていたら、手にできる金額ではない。
だが、プロゴルフにおいて、日本の男子選手が、日本ツアーでプレーするより米ツアーで高い賞金を獲得した例は、過去に丸山茂樹だけだ(青木功も米シニアツアーで、日本時代を含めた自己最高額を記録しているが、ここでは通常の米ツアーに限定して考えていく)。