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ハイレベル、ハイリターンの米ツアー。
松山と石川の賞金額は上がるのか。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byYasuhiro JJ Tanabe/AFLO
posted2013/10/30 10:30
8月の全米選手権で、ともに練習ラウンドを回る松山英樹と石川遼。まだ20代前半の2人が、これから日本ゴルフ界の歴史を塗り替えていくのを期待したい。
女子に目を向けると、少々状況には違いが……。
女子のほうでは、1987年に米ツアーで賞金女王になった岡本綾子、2009年に151万7149ドル(約1億5171万円)で賞金ランク3位になった宮里藍、この2人は、米国において、日本ツアーでの実績を上回っている。また日本の高校から直接、米ツアーの出場権を得てプロになった宮里美香も、2012年には109万8749ドル(約1億987万円)で賞金ランク11位になっており、こちらも日本ツアーにフル参戦した場合と同等の成績は収めていると言っていいだろう。
女子の場合は、日本ツアーと米ツアーで、男子ほど賞金額に大きな差がない。また年間の試合数を見ると、2013年は日本ツアー36試合、米ツアー29試合と、日本ツアーのほうが多い。このため、日本ツアーで記録した自己最高額を米ツアーで更新するには、日本で残していた順位と同等か、それ以上の順位を残す必要がある。岡本綾子と宮里藍は、間違いなくそれを実現している。
ゴルファーとしての世界的な価値を証明するには、世界で最も競争のレベルが高い米ツアーに参戦して、日本ツアーと同様の順位が取れることを見せる以外にない。
松山と石川、2人が新しい歴史を作るのは間違いない。
男子において、松山と石川が、それを実現できるか。松山は腰痛をはじめ、体調さえうまく維持できれば、十分に可能だろう。石川は新シーズンに入って、まだ2試合だけではあるが、15フィート(約4.6m)から20フィート(約6.1m)のロングパットが33.33%とよく入っている。2013年の不振からは、ようやく脱したように見える。新シーズンは来年の9月までという、たいへんな長丁場ではある。だが、すでに58万ドルを獲得している石川にとって、調子の波はあったとしても、200万ドルはきわめて現実的な目標だ。日本ツアー出身の最高額である丸山茂樹の230万1692ドル、さらには今田の302万9363ドルを上回る可能性もあるだろう。
よく知られているように、松山と石川は学年が同じで、松山はまだ21歳、石川は22歳である。丸山が最高額を記録した時は35歳だった。男子の場合、ゴルファーとしての円熟期はだいたい30代の前半くらいにあるはずで、松山も石川も、まだまだこれから成熟していく段階だ。
日本の男子ゴルフにおいて、2人が新しい歴史を書いていく選手であることは間違いない。2013-2014シーズンは、それをまた証明するシーズンになるのか注目したい。