日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
スピード、パス、パワーが揃ったCB。
森重真人が代表で輝くための条件。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/10/29 10:31
ベラルーシ戦で、屈強な相手選手たちにも競り負けなかった森重真人。しかし、彼のポテンシャルはこんなものではないはずだ。
森重真人の評価が確実に上昇している。
東アジアカップで代表初キャップを刻んで以降、9月のグアテマラ戦で先発フル出場し、中3日のガーナ戦でも後半途中からピッチに入った。10月の欧州遠征メンバーにも選ばれ、第2戦のベラルーシ戦では後半早々、3バックに切り替える時点で投入されている。今野泰幸、吉田麻也に続く“第3のセンターバック”として、今やその地位を確立しつつあると言っていい。
東アジアカップで優勝したメンバーから先の欧州遠征に参加したのは他に柿谷曜一朗、山口螢、齋藤学の3人だが、森重は彼らより一世代上だ。本田圭佑や長友佑都、内田篤人らとともに北京五輪を戦ったのが5年前。仲間たちが順調にA代表の中核を成していくなかで、森重はその才を高く評価されながらお呼びが掛かることはなかった。しかし所属するFC東京で彼は地道にレベルアップに努め、ようやくアルベルト・ザッケローニ監督の目に留まったのだ。
やっと掴んだチャンスを簡単には手放せない。苦労してきた分だけ、彼のプレーからは与えられた場で自分の特色を出しきろうとチャレンジする姿勢が、見ている側にも伝わってくる。
「試合に出たいという気持ちは常にあります。(自分の場合)代表に長くいればいるほど、ベンチでもいいのかなって、なってしまうのかもしれない。だから、東アジア(カップ)のときのように、ギラギラした思いというのはずっと持っていたい。
チャンスがあればいい結果を残したいし、そのために準備をしっかりとしていきたいですね。3バックが、自分のチャンスの掴みどころだと思う」
柿谷に代わってピッチに入ったベラルーシ戦。
セルビア戦前日の練習後、彼はバスの前で足を止め、報道陣を前にこのように決意を語っていた。
結局、セルビア戦では3バックに移行せず、出番なく終わってしまった。それでもベラルーシ戦で待っていた出番が訪れる。0-1で迎えた後半6分、柿谷曜一朗に代わって交代の一番手としてピッチに入ると、彼は3バックの右にポジションを置いた。
スムーズに入れたとは言い難かった。ポジショニングの部分で周りとうまく噛み合わない場面があり、また、遠藤保仁のバックパスが後ろに流れてしまったところでは相手を手で払いのけ、ゴール正面でFKを与えてしまった。
だがマイナス面よりも、プラス面が目を引いた。