スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
クリフ・リーとフィラデルフィア。
~23億円以上を袖にした「決断」~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2010/12/18 08:00
ヤンキースより大幅に少ない金額だが、それでも、1年平均2400万ドルは投手として史上最高年俸という
MLB史上屈指の最強先発投手陣となったフィリーズ。
そんなわけで、フィリーズは大リーグ30球団中、文句なしに最強の先発投手陣をそろえることとなった。
ロイ・ハラデイを筆頭に、クリフ・リー、ロイ・オズワルト、コール・ハメルズがずらりと顔を並べるのだ。もはや「H2O」(ハラデイ+ハメルズ+オズワルトの頭文字)どころではない。
史上屈指のH2OLがもし無傷でリーグを牽引するとなれば、われわれは、1966年のドジャース(コーファックス+ドライスデール+サットン+オスティーン)や'97年のブレーヴス(マダックス+グラヴィン+スモルツ+ネーグル)に匹敵する光景を見ることができるかもしれないではないか。
こうなると、56年ぶりに戴冠を果たしたジャイアンツも、尻に火がつく。
伸び盛りの若手投手陣を主力とする彼らと、実力派オールスター投手陣で固めたフィリーズとの覇権争いは、相当に興味深いものとなるはずだ。実力と人気の両面で、この2球団は、一時期のヤンキース対レッドソックスのような頂上対決の構図を描きつつある。この動きに刺激されて、ナ・リーグ全体が活性化されると面白いのだが。